*13:05JST unerry Research Memo(5):2026年6月期も売上高・利益面で高成長、全事業で売上高2ケタ成長(1)
■業績動向
1. 2026年6月期の業績
unerry<5034>は2026年5月にブログウォッチャーを完全子会社化したことに伴い、2026年6月期より連結決算に移行しているが、2026年6月期は2026年6月末をみなし取得日として貸借対照表のみを連結しており、ブログウォッチャーの損益が反映されるのは2027年6月期第2四半期からである。2026年6月期の連結業績は、売上高4,879百万円、営業利益424百万円、経常利益432百万円、親会社株主に帰属する当期純利益330百万円となった。同社単体での個別業績は、売上高4,879百万円(前期比31.0%増)、営業利益431百万円(同38.3%増)、経常利益439百万円(同39.5%増)、当期純利益336百万円(同1.5%増)となり、売上高及び最終利益を除く利益面で2ケタ成長と好調だったが、期初予想に対する達成率は売上高で97.6%、営業利益で84.9%、経常利益で86.2%、当期純利益で82.5%と売上高でわずかに未達、利益面でも未達となった。売上高・利益面ともに2021年6月期以降の5年間で持続的な成長がみられ、売上高は直近5年間の年平均成長率で44%、営業利益は2022年6月期に黒字化して以降の直近4年間で年平均成長率55%と、売上規模の拡大と収益性の改善を両立しながら成長を続けている。
売上高は全事業で前期比20%以上の増収を確保し、いずれも好調だった。主力のリテールDX事業は同22%増、リテールメディア事業は同89%増、スマートシティ事業は同28%増、グローバル事業は同20%増となった。売上高の重要指標であるリカーリング顧客数は176社(前期比36社増)と過去最大の増加であった。前期に獲得した新規顧客や取引中の顧客との取引を深耕し、着実にリカーリング顧客に成長させた。リカーリング年間顧客単価も25百万円(前期は23百万円)と増加傾向にあり、NRRは120%(同116%)へ成長、リカーリング売上高比率は前期比4ポイント上昇の91%となっている。新規または取引中の非リカーリング顧客数も159社(前期比29社増)と、将来のリカーリング顧客基盤も堅調に推移している。なお、2026年6月期末の総顧客数は335社(前期比65社増)と拡大した。
売上高を事業別に見ると、リテールDX事業(小売・外食向け)の売上高は前期比22%増の3,284百万円となった。2026年6月期の取り組みとして、営業体制を新規開拓・クロスセル・パートナーセールスの3チーム制に再編したことが奏功し、リカーリング顧客数の拡大を後押しした。新規開拓では「ショッパーみえーる」等のエントリーサービスの売り込み、クロスセルでは分析・可視化サービス利用顧客に対する行動変容サービスの提案・受注といった取り組みが奏功したほか、重点顧客に対しては、販促部門やDX、マーケティング部門等、企業の複数事業部を横断したデータ活用提案を行ったことで、顧客単価が向上し、増収につながった。
リテールメディア事業(消費財メーカー向け)の売上高は前期比89%増の851百万円と大きく伸張した。増収の要因はパートナー企業との営業連携が新規顧客開拓及び既存顧客へのクロスセルの両面で寄与したこと、及び業界最大手の小売企業との連携や、交通広告・サイネージでの同社サービスの利用拡大が大型案件獲得につながったことである。前者については大手広告代理店等と連携し、同社サービスに関する勉強会や共同マーケティングといった施策を実施したことで、これらのパートナー経由でのクロスセルやアップセルが進捗した。後者の小売企業との連携については、スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストア等の大手企業からの大型案件受注が進んだ。また、交通広告(OOH)分野ではNTTドコモとの協業により広告効果計測の仕組み化と広告活用や標準化に関する大型案件を獲得した。
スマートシティ事業(不動産・自治体・官公庁向け)の売上高は前期比28%増の680百万円となった。従来からの分析・可視化サービスに加え、自治体向けの観光誘客等の行動変容サービスが伸長した。前期は自治体攻略に向けての専門人材の確保が遅れたことで思うように活動を活発化させることができなかったが、その後人材を確保し体制を強化、自治体からの案件公募への対応力が増したことで、2026年6月期は自治体・不動産・公共交通事業者のまちづくり支援実績が34都道府県に拡大した。このなかには東京都の「令和7年度DXによる観光データ活用等支援事業」における大田区・府中市・神津島村の3地域に対する観光課題の分析と解決に向けた方向性整理といった支援や、長野県松本市の観光客動態調査、奈良県での主要観光エリアにおける観光客動態の分析ダッシュボード構築等の注目すべき案件を含んでおり、行政領域での実績を積んだほか、民間へも活用が広がっている。
グローバル事業(海外・外資・越境事業者向け)の売上高は同20%増の63百万円となった。インバウンド関連事業者やグローバル広告企業との連携等の共同サービスの展開を開始した。後者については北米でコンテキスト広告を展開する世界的リーダー企業であるGumGumとの連携を強化し、同社の人流データとGumGumのコンテキスト配信技術を掛け合わせることで文脈に即した広告体験と実行動に基づく評価を行うサービスを提供する。GumGumが提供するコンテキスト広告に関するサービスが同社の人流分析に関する技術で強化されることになり、同事業の柱の1つである海外企業支援サービスの拡大につながると期待される。
サービス別の売上高では、行動変容サービスが2,460百万円(前期比39%増)と大きく伸長し、分析・可視化サービスが1,514百万円(同27%増)と続いた。One to Oneサービスは905百万円(同18%増)となり、いずれのサービスも2ケタ増を確保している。
利益面では、粗利率(売上高から直接原価を除いた数値を粗利とし、売上高に対する比率を示す)はサービス別の売上高ミックスと粗利率増減による変動はあるものの、全体平均は50%前後を推移しているが、2026年6月期は48%(前期比2ポイント低下)となった。One to Oneサービスにおいて開発を伴う大型案件の構成比が上昇したことや、分析・可視化サービスにおいて外注費が増加したことが主因である。間接原価を含む売上総利益率は37%(同2ポイント低下)と、間接原価率の改善が寄与した。販管費は人件費・採用費や手数料・支払報酬の増加で前期比21%増となったが、増収率(同31%増)を下回る水準となった。なお販管費率は29%(同2ポイント低下)となった。この結果、営業利益率は8.7%(同0.3ポイント上昇)となり、収益性が改善した。なお同社は事業の利益創出力を示す補完指標として調整後EBITDAを2026年6月期より開示しており、453百万円(同38%増)となった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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