異例の厚遇で習近平主席をもてなしたトランプ大統領(Getty Images)
米国の中間選挙が間近に控えている。世論調査などを踏まえると、共和党の苦戦が予想されているが、そうした情勢化で、中国の習近平・国家主席の米国訪問が実現した。このタイミングでの米中接近が意味すること、そしてトランプ大統領の狙いとは──。中国経済に精通する中国株アナリスト・田代尚機氏がレポートする。
何としても両院での敗北を食い止めたい、米中間選挙の見通し
米国では11月3日、中間選挙が行われる。ロイター/イプソスが9月21日に公表した世論調査によればトランプ大統領の支持率は32%に低下しており、過去最低水準であった。ほかの機関による世論調査でも、40%を割り込む数字が散見され、過去の中間選挙の結果が現政権に不利であったという歴史的事実も踏まえて考えれば、全議席が改選の対象となる下院において、共和党が多数を維持するのは困難だとみられる。
仮に民主党が下院で多数を確保した場合、ワン・ビッグ・ビューティフル法案(税制、歳出削減、国境対策、国防、社会保障関連の見直しなどを一つにまとめた包括法案)などに関する追加立法が事実上不可能となり、また予算交渉や財政政策において民主党が拒否権を行使しかねない。更にこれまで共和党多数により議会が事実上容認してきた行政命令による一方的な政策推進、関税政策、移民政策、規制緩和などの推進力が大幅に低下しかねない。最も厄介なのは、下院委員会の調査権が回復、トランプ政権に対する組織的な牽制が始まり、腐敗、刑事調査、場合によっては弾劾手続きが行われるリスクが生じることだ。トランプ大統領としては、できる限り下院での敗北を阻止し、何としても両院での敗北を食い止めたいところだ。
こうした政治環境の中で9月23~25日、習近平国家主席の米国訪問が行われた。重要な国賓の空港での出迎えにおいては、通常副大統領クラスが応じる(2000年以降で現職大統領が出迎えたケースとしては2008年4月の教皇ベネディクト16世、2015年9月の教皇フランシスコの訪米などがある)のであるが、今回はトランプ大統領が自ら出迎えるほどの配慮を示しており、全行程において異例ともいえる厚遇を以て習近平主席をもてなした。ただ、これを以てトランプ大統領が中国に「譲歩」したとか、「親中化」したと判断するのは早計であろう。
