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【水上紀行の為替相場の本質】知らないと損する中間決算時期の相場

 相場転換の「きっかけ」は四季折々にあります。たとえば年末の12月は世界的にお祭りムードとなり、為替担当者も浮かれるのか、相場は凪の状態になりがちです。このように季節のイベントが相場に大きな影響を与えます。

欧米勢の中間決算の影響

 中でも、6月末の欧米の中間決算は影響大です。6月の中間決算だけではなく、12月の本決算でも、それまで保有してきたポジションを実際に、反対取引をすることで、損益を確定します。

 たとえば、ユーロ/ドルの売りポジションをキャリー(持越し)してきたとしたら、実際にこの売り持ちポジションを、買い戻すという反対取引によって、損益を確定します。

 決算処理のために、具体的なユーロ買いが発生することになり、少なからず、為替相場に影響を与えています。このことを知らないで、それまでの相場観で、相場は引き続き上がるあるいは下がると見ていますと、なぜ突然相場が反転したのかがつかめず、場合によっては大きな損失を被ることになりますので、十分警戒する必要があります。

 なぜ6月の中間決算の方が、12月の本決算より、相場への影響度が大きくなりがちになるかと言いますと、それは、6月の中間決算が終わると、7月、8月が夏休みシーズンに入り、本格的に下期のスタートは9月になるため、下期の実働日数は、上期に比べて少ないためだと見ています。

2010年の例に見る中間決算の威力

 それでは、ここで、具体的な中間決算に絡んだ過去の相場展開の例を見てみましょう。2009年の暮からのギリシャ危機に端を発し、2010年1月には、さらに他のEU加盟国も巻き込んで欧州危機まで発展し、ユーロ/ドルは、2009年の12月から2010年6月7日までで、約3200ポイントの下落となりました。

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 2010年6月初旬の段階でも、マーケットは「ユーロは売り」というコンセンサスとなり、ユーロの先安感が強い状況でしたが、そこを欧米勢が、中間決算に絡んだ利益確定のユーロの買戻しに大きく出たことから、相場は大きく反転することになりました。

 この2010年6月7日以降のユーロ/ドルの反発は、6月末までには700ポイント以上、反転上昇しました。上昇は8月初旬まで続き、安値からの上昇幅は、1400ポイントを越しました。

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