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大河ドラマでは描きづらい徳川家康の「経済的飛躍」3つのターニングポイント

浜名湖の水運を掌握したことも家康「東方進出」の足がかりになった(イメージマート)

浜名湖の水運を掌握したことも家康「東方進出」の足がかりになった(イメージマート)

「浜名湖水運」「茶屋四郎次郎」

 大河ドラマではまだ少し先の話になるが、【その2】は浜名湖水運の掌握が挙げられる。

 信長は北近江の浅井氏を滅ぼした後、羽柴秀吉に長浜城、明智光秀に坂本城、織田信澄に大溝城を築かせることで、琵琶湖水運の掌握を誇示した。戦略的にも純経済的にも重要と判断したからである。

 家康が三河から東方に版図を拡大させるにあたり、浜名湖水運の掌握に乗り出したのも同じ理由に拠る。京の都を控えた琵琶湖水運の価値には及ばずとも、東国に限っていえば、浜名湖水運の掌握がもたらす利益は極めて大きかった。物資の輸送と兵員の移送に関して他者より有利に立てるからで、家康が三河・遠江から駿河へ、そこからさらに武田・北条の領域に手を伸ばすのであれば、絶対に確保しなければいけない最重要の戦略拠点でもあった。

 これまた先になるが、関ヶ原の戦いに勝利した家康は江戸をはじめ、関東全土の再開発を本格化させるが、そのときも水運の有効活用を怠らなかった。

 ターニングポイントの【その3】としては、茶屋四郎次郎との相互利用が挙げられる。豊臣秀吉と千利休が美的感性や価値観の共有で結ばれていたのとは対照的である。

 茶屋四郎次郎は世襲された名称で、『どうする家康』に登場するのは初代にあたり、名は清延。信濃の武家出身だが、清延は都に上って呉服商を手初めに様々な取引に手を広げた。

 将来性のある大名を物色していたところ、信長ではなく、まだ三河一国を確保するにすぎない家康に限りない可能性を覚え、投機的な援助を重ねていく。家康にしてみれば、進んで交際を求めてくる商人がいまだ稀な状況で、茶屋四郎次郎の接近を無下に退ける理由はなかった。『どうする家康』でどこまで具体的に描かれるか不明だが、第13回に登場させたからには、「伊賀越え」だけでなく、今後もたびたび登場シーンがあるのだろう。

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