キャリア

激務をこなす裁判官の給料事情 その頂点である最高裁判所長官の年収は内閣総理大臣と同水準

検察官などと同様、裁判官も法律で月収が定められている(写真:イメージマート)

検察官などと同様、裁判官も法律で月収が定められている(写真:イメージマート)

 正常な社会運営のための重要なファクターといえる裁判制度。民事・刑事を問わず、裁判の際に重責を担う裁判官は、採用率一桁の狭き門だ。判決は人の人生、時には命まで左右する。だからこそ、裁判官は非常に厳しい選考を通じて採用されるわけだ。法律や倫理観に基づいた判断力はもちろん、優れた人間性も求められる。では、その対価となる収入はどれくらいなのだろうか。国家公務員である彼らの報酬は、法律によって金額が定められているという。あらゆる仕事・業界の“マネー格差”について徹底調査した話題の新刊『マネー格差の天国と地獄』(ニューノーマル研究会・編)から、裁判官たちの給料事情をレポートする。

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 法曹を目指す者は、司法試験合格後、1年間の司法修習を経て進む道を決めることとなる。69期司法修習生の2017年1月時点の就職状況を参照すると、修了者1762人のうち、弁護士登録者が1472人(83.5%)もいるのに対し、検事(検察官の職位)採用者は70人(4.0%)、判事補(裁判官の職位)採用者は78人(4.4%)とごくわずかだった。法曹三者のうち、裁判官は検察官と並んで狭き門なのである。司法修習での成績や素行はもちろん、人格なども任命の必須条件となる。

 裁判官は検察官やその他の国家公務員と同様に、法律で月収が定められている。狭き門をくぐり抜け、晴れて裁判官の職位「判事補」となるわけだが、判事補1年目の報酬月額は23万4900円で、諸手当やボーナスを合わせると年収は約604万円ほどである。新人にしてサラリーマンの平均年収を大きく上回る額を高いと感じる人もいるかもしれないが、勤務実態を知ればその認識は変わることだろう。

 裁判官は基本的に土日祝日が休みだが、都市部などの忙しい裁判所に配属された場合、曜日通りに休めないことも多い。

 1人で200件を超える案件を抱え、平日は仕事を家に持ち帰って就寝前や早朝に作業にあたることもあるという。警察からの逮捕状請求や死体解剖のための書類請求などが休日や深夜に行われることもあるため、令状当番という当直も存在する。稼働できる裁判官が少なければ、本来、年に数回程度の休日出勤が、月に数回の頻度で課せられるケースもある。

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