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不妊治療がうまくいかず渡米して「卵子提供」を受けるという選択 3000組を手掛けたコーディネーターが明かすその実態

アメリカで卵子提供を受ける選択をするのは、どのような人が多いのか(イメージ。Getty Images)

アメリカで卵子提供を受ける選択をするのは、どのような人が多いのか(イメージ。Getty Images)

 少子化が止まらない一方で晩婚化の影響もあり、40代~50代の出産は増加。不妊治療に取り組む人も増えている。この不妊治療の一部が昨年4月から保険適用になったことは、高齢出産を望む人たちにとって大きな福音となった。

 不妊治療では、まず検査が行われ、基礎体温や卵子の直径、血中・尿中の黄体化ホルモンの数値などを見ながら、妊娠しやすい日を割り出して性交のタイミングを図る“タイミング法”が指導される。これで妊娠できなった場合、排卵時期に合わせて、子宮内に直接、濃縮した精子を注入する人工授精を行う。

 それでも妊娠しなかった場合は、体外に取り出した卵子と精子を特殊な培養液の中で受精させ、その受精卵が細胞分裂をして“胚”になったら子宮内に戻す“体外受精”に取り組むこととなる。

 そして、体外受精を繰り返したものの、妊娠しなかった人の中には、アメリカに渡航し、“卵子提供”を受けて出産する人もいるという。そのためのコーディネートをアメリカで行っている川田ゆかりさんに話を聞いた。

先進国の中では、日本とフランスのみ行われていない方法

 卵子提供とは、20代の女性から健康な卵子を提供してもらい、パートナーの精子と体外受精させて受精卵を作り、自分の子宮内に移植する方法だ。

 つまり、パートナーの遺伝子は受け継ぐが、自分の遺伝子は受け継がない子供を産むということになる。そのため、先進国の中では日本とフランスだけが、倫理上の問題などから行われていない。しかしアメリカでは、満55才未満の健康な女性なら誰もが選択できる方法【※】だ。

【※過度な肥満、生活習慣病など健康面での問題を抱えている人は受けられない。また、カリフォルニア州の提携医院では、55才以上の胚移植は行っていない】

「私のところに相談に来る日本人の中には、体外受精を40回以上しても出産できなかったという夫婦が少なくありません。それも、保険適用前ですから自費で……。皆さん、最後の望みをかけて私のもとを訪れるのです。自分の遺伝子を受け継いだ子でなくても、お腹を痛めて産んだ子に変わりはありませんし、ご主人にそっくりなのがうれしいと、皆さんおっしゃいます」

 とは、アメリカを拠点に卵子提供などのコーディネートを28年以上続けている川田ゆかりさんだ。これまでに3000組近くの日本人夫婦が川田さんのもとを訪れ、卵子提供で子供を授かったという。

「卵子は、欧米に住む健康な20代の日本人女性から提供してもらいます。提供者登録にあたり血液検査を行い、病歴や遺伝の問題、生活管理能力の有無などについても厳しく検査します」(川田さん・以下同)

 若く健康的な卵子のため着床もしやすく、全体の95%が出産に成功しているという。

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