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「マイナ保険証」に潜むデメリット“更新手続き怠り医療費10割負担”の悲劇、“高齢者の暗証番号持ち歩き”もリスク

マイナ保険証で想定されるデメリットとは(写真:イメージマート)

マイナ保険証で想定されるデメリットとは(写真:イメージマート)

 政府の大号令で進むマイナンバーカード(マイナカード)制度だが、人為的ミスやシステムエラーによる落とし穴が次々に発覚。6月5日には河野太郎デジタル担当相が、マイナカードをめぐるトラブルが続出を受けて、「国民の皆様に不安を与えていることは申し訳なく思います」と謝罪した。

 この先、政府は紙やプラスチックの健康保険証を原則廃止し、2024年秋までに「マイナ保険証」の一本化を目指す。だが厚生労働省の集計では、マイナ保険証において、別人の情報が紐づけられていたケースが2021年10月から2022年11月の間に7312件も確認されている。医師の側もマイナ保険証に反対しており、4月には全国の医師1075人が「マイナ保険証の義務化廃止」を掲げて国を提訴している。

 経済ジャーナリストの荻原博子氏は「そもそもマイナ保険証はメリットが少ない」と指摘する。

「政府はマイナ保険証で病院の受付をすれば待ち時間が短くなると主張しますが、病院で待たされるのは受付のせいでなく、医師不足で患者の診療に時間がかかるからです。しかも、今年3月の時点でマイナ保険証に対応していない医療機関が4割あり、そのほとんどが中小の開業医。これでは地域住民がマイナ保険証で受診しようとしても叶わず、適切な医療を受けられない可能性がある」

 マイナ保険証は「更新手続き」が思わぬ落とし穴になる。

「マイナ保険証は原則として5年に1度、役所で本人が更新の手続きをする必要があります。体が不自由な場合などは代理人による更新もできますが手続きが煩雑。

 また、更新の際は4ケタの暗証番号が必要ですが、2030年に認知症患者が800万人になると予測されるなか、高齢者が番号を覚えていられるのか。暗証番号とマイナカードをセットで持ち歩くことは紛失、情報漏洩の点で大きなリスクを伴います」(荻原氏)

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