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【廃止された理由】蒸気機関車は電気機関車やディーゼル機関車と比べてどれほど“非効率”なのか

 とはいえ、ここまでの説明で理解できる方は少ないでしょう。なぜならば、蒸気機関車の保守や運転などの作業は、私たち鉄道利用者からは見えないこところで行われており、何が非効率なのかわかりにくいからです。

 そこで今回は、私が蒸気機関車を支える現場を取材した経験に基づいて、廃止された理由をあらためて説明しましょう。

蒸気機関車を走らせるには手間がかかる

 一般にはあまり知られていませんが、蒸気機関車を動かすには多くの手間がかかります。

 まず、蒸気機関車は、1人では運転できません。運転操作をする機関士(1人)の他に、機関助士(1~2人)が必要だからです。機関助士は、火室(石炭を燃やす部分)に石炭を投入し、機関士の死角になるところから前方を確認して、機関士の運転操作をサポートします。

 また、蒸気機関車は運転前に1~2時間の保守作業をしないと動きません。火室で火を起こし、ボイラーの温度を上げて、蒸気の圧力を一定以上にする(下の写真)。蒸気機関車の各部品をハンマーで叩いて点検する。可動部(動く部分)にある油壺(小型蒸気機関車でも100箇所以上ある)に潤滑油を注ぐ。走行中に消費する石炭と水を補給する。これらを3人以上の作業員が手分けして進めないと、蒸気機関車は動かないのです。

火室で火を起こす作業。これからボイラーの温度が上がり、蒸気の圧力が一定以上になるまでには長い時間がかかる

火室で火を起こす作業。これからボイラーの温度が上がり、蒸気の圧力が一定以上になるまでには長い時間がかかる

 蒸気機関車は、運転を終えてらも1時間程度の保守作業を受けます。火室の底(灰箱)にたまった石炭の燃え殻や灰を外に排出する。車体に付着した煤を水で洗い流し、表面を拭き上げるなどのアフターケアを要するからです。

灰箱にたまった石炭の燃え殻や灰を外に排出する作業

灰箱にたまった石炭の燃え殻や灰を外に排出する作業

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