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【自転車同士の事故】相手が「修理ではなく新車で弁償して」と要求、応じる必要はあるのか 弁護士が解説

被害者の要求にどこまで応じる必要がある?(イラスト/大野文彰)

被害者の要求にどこまで応じる必要がある?(イラスト/大野文彰)

 自転車同士の衝突事故を起こしてしまい、相手の自転車が破損。しかし、相手は「修理ではなく、新車で弁償してくれ」と言ってきたという。この場合、要求に応じる必要はあるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 高校生の娘がスマホを操作しながら自転車に乗っていて人身事故を起こしました。幸い、娘にも相手にもけがはなく、相手の自転車が壊れた程度で済みました。

 相手にお詫びをし、自転車の修理を申し出たところ、「事故に遭った自転車には乗りたくない。新車で弁償して」と言われました。保険会社に相談しましたが、「そのような前例がないので無理だ」と言います。このような場合、相手の要求に対応した方がよいのでしょうか。(奈良県・53才・主婦)

【回答】
 娘さんには相手に生じた損害を賠償する義務があります。この損害賠償とは、不法行為などで他人に与えた損害が生じなかったのと同じ状態にすることをいいます。実際には損害が発生していますから、同じ状態にすることは不可能で、大抵の場合は、損害を金銭で評価して賠償することになります。しかし、例えば修繕で元通りにできれば、原状回復の方法で損害を賠償することもできます。どちらにせよ、損害がなかったのと同じ状態ですから、加害者には被害者が元通りになる以上のことをする義務はありません。

 ご質問の場合、被害者の自転車が壊れただけですから、これを修繕で元通りにすることができるのであれば、修繕してあげるか、修繕費相当額を賠償すればよいことです。

 自動車では中古車市場があって販売することがあり、事故歴があると安くなりますから(格落ち)、修繕費に加えて格落ちによる減価分を金銭賠償することもあります。普通の自転車であればそこまで考える必要はないでしょう。とはいえ、円満解決のために修繕費+αとして検討してもよい点です。

 もし破損がひどくて修繕できない場合や、海外製品などで部品の調達に費用がかかるなどして修繕費が自転車の買い替えよりも高くなる場合には、経済的に全損状態にあると考えて買い替えの方法による損害賠償になります。

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