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そごう・西武売却は「百貨店モデル終焉」の象徴に 猥雑さが漂う巨大繁華街「池袋」再開発の行方

ストライキを決行し、西武池袋本店前でデモをする西武の労働組合の組合員。同店は全館で臨時休業となった。百貨店業界のストは61年ぶり(時事通信フォト)

ストライキを決行し、西武池袋本店前でデモをする西武の労働組合の組合員。同店は全館で臨時休業となった。百貨店業界のストは61年ぶり(時事通信フォト)

百貨店から家電量販店へ、そしてその先は?

 ただ、「その家電量販店でさえ、ネット通販に客を奪われている」(前出・磯山氏)という状況がある。一等地で勝負に出たヨドバシの未来も盤石ではない、というのだ。

「“ここならやれる”という見通しが立ったのでしょうが、そんな局面さえ、遠くない未来に終焉を迎える可能性もある」(磯山氏)

 今後の注目点として、磯山氏は「街の面白み」を挙げた。

「池袋という街全体をどう面白くするかが最大のポイント。例えば駅東口からサンシャインシティにつながる道周辺には、オンリーワンの小さな店が点在し、中華料理店やエスニック料理店も集まる。さまざまな国の外国人が行き交う情緒もあって、いい意味での猥雑さが漂っています。これは高層ビルが次々と立つことでかえってその街の面白さを削ってしまってきた渋谷などほかの都心の街とちょっと違う」

 豊島区は2014年以降、周辺の再開発を順次進めてきている。

「今後の再開発を通じて、こうした面白さを生かしたまちづくりの考え方が具体化されるかに注目しています。その時には必ずこの旧西武池袋本店の場所が重要な拠点になるはず」(磯山氏)

 ヨドバシ、ファンド、区や労働者の枠を超えた議論が必要だと、磯山氏は結んだ。

「当たり前のことですが、各当事者それぞれが人を集められる力を持たなければ街は成長できません。今回のストは従業員の雇用問題にとどまって拡がりを持たなかったけれど、これからは、池袋の当事者が一丸となって地盤沈下を食い止めるウイン・ウインの関係を築けるかどうかが重要だと思います」

 旧西武池袋本店の業態は変わるが、その場所が今後どうなるかで、街の将来も変わってくるのかもしれない。(了)

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