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豊臣秀吉の朝鮮出兵は東アジア全体を「わやちゃか」にした その影響は「明の衰退・滅亡」にもつながった

秀吉の朝鮮出兵では戦功の首級代わりに朝鮮・明兵の耳や鼻をそぎ落として持ち帰った(京都・方広寺の耳塚) 

秀吉の朝鮮出兵では戦功の首級代わりに朝鮮・明兵の耳や鼻をそぎ落として持ち帰った(京都・方広寺の耳塚) 

「こんな滅茶苦茶にして放り出すのか」

 日本では「文禄・慶長の役」、朝鮮では「丁酉壬辰・倭乱」と呼ばれるこの戦役については『どうする家康』でも描かれている。

 10月15日放送の第39回「太閤、くたばる」のなかで、ムロツヨシ演じる豊臣秀吉が「天下なんてどうでもええ」「秀頼が幸せなら」と漏らすのを聞いて、松本潤演じる徳川家康が感情を抑えられず、「こんな滅茶苦茶にして放り出すのか」と罵る場面がある。

 10月22日放送の第40回「天下人家康」では和久井映見演じる北政所が、秀吉晩年の不始末を「わやちゃか」という言葉で表現している。「わやちゃか」とは尾張弁で「しっちゃかめっちゃか」という意味。秀吉により滅茶苦茶にされたのは、日本と朝鮮、日本と明王朝との関係、朝鮮の全土とそこに暮らす民および従軍した大名とその将兵すべてだった。

 帰国した大名たちは、絶対者である秀吉に唾することはできないので、積もりに積もった怒りの矛先を、兵站と監督を担った石田三成へと向けた。三成を擁護する大名もいたから、秀吉亡き後、豊臣恩顧の大名は反三成派と親三成派とに分裂。これが関ヶ原の戦いの伏線となる。

 反三成派の怒りは関ヶ原での勝利と三成の斬首によりおおむね解消されるが、日朝・日明関係の修復は武力や謀略でどうなることもなく、ドラマ上では描かれないと思われるが、その役割は次なる天下人の徳川家康が担うほかなかった。

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