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【史実で解読する『どうする家康』】豊臣秀吉「晩年の暴走」でも尽きなかった財力の秘密 重要都市や金山銀山の「直轄地」化が鍵に

秀吉亡き後も豊臣家が財力を維持できたのはなぜか?(写真:イメージマート)

秀吉亡き後も豊臣家が財力を維持できたのはなぜか?(写真:イメージマート)

 注目キャストが多数出演するNHK大河ドラマ『どうする家康』。なかでも最近の放送では天下人・豊臣秀吉を演じるムロツヨシの怪演ぶりが目を引く。10月1日放送の第37回「さらば三河家臣団」では、家康に北条攻めと関東移封を冷酷に命じる姿が描かれた。次回は秀吉の“暴走”として語り継がれる朝鮮出兵が取り上げられることになる。その一方、歴史作家の島崎晋氏は、天下統一を果たした秀吉が手がけた経済政策に着目する。

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 NHKの大河ドラマでは3年か4年に一度の頻度で戦国時代を扱ってきたから、必然的に織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の登場頻度も高かった。

 過去作を振り返ると、信長と家康の描かれ方に大きな違いがないのとは対照的に、秀吉の描かれ方は大きく変わった。「人たらし」(人の心をつかむのが上手い)の天才とされる点はいっしょでも、『おんな太閤記』(1981年)で秀吉を演じた西田敏行や『秀吉』(1996年)の竹中直人が典型的な陽キャラであったの対し、『利家とまつ~加賀百万石物語~』(2002年)の香川照之から『真田丸』(2016年)の小日向文世まではことごとく陰キャラ。大河ではないが、フジテレビ系列で2014年に放送開始の『信長協奏曲』では、山田孝之演じる秀吉がブラックもブラック、完全なラスボスとして描かれた。

 今年の『どうする家康』において、ムロツヨシが演じる豊臣秀吉は、不気味だが計算高い人物として描かれてきたが、しだいに狂気を帯び始め、第35回「欲望の怪物」(9月17日放送)では、実の母親である大政所(高畑淳子)から「化け物」という言葉まで飛び出した。中国・明の征服計画とその前段階である朝鮮出兵、甥の秀次とその家族の粛清、茶人の千利休に切腹をさせるなど、晩年の完全ブラック化に向けた伏線が着々と張られている。

 だが、そんな秀吉も経済政策では失敗を犯すことなく、家康が豊臣家を滅ぼした「大坂の陣」(1614〜1615)の時点では、死後15年以上を経過しながら、大坂城には武器弾薬と兵糧を豊富に揃え、10万人もの浪人を雇う余裕があった。どうしてそれほどの蓄財が可能だったのか。

 答えを探すには、織田信長や他の戦国大名の経済政策と比較するのが手っ取り早そうである。

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