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【もう1つの2024年問題】いよいよ団塊世代がすべて後期高齢者に 政府が切り札として進める「全世代型社会保障」の高い壁

2060年、80歳以上が約2割に達する「いびつな社会」

高齢になるほど医療費が急増する(年齢階級別1人当たり国民医療費)

高齢になるほど医療費が急増する(年齢階級別1人当たり国民医療費)

 ところで、75歳以上人口はどれぐらいなのだろうか。総務省によれば、2023年9月15日現在2005万人だ。2000万人を突破したのは初めてであり、高齢者全体(3623万人)に占める割合は55.3%である。

 平均寿命が延びている日本においては、75歳以上の中でも「より年配の高齢者」が増えている。80歳以上を例にとると、総人口に占める割合は10.1%だ。すでに国民の10人に1人が80歳以上という超長寿国家なのである。国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の将来推計によれば2060年頃には総人口の約2割に達し、5人に1人が該当する極めて「いびつな社会」となる。

「より年配の高齢者」の増大に対しては、政府は早くから社会保障費の膨張に強い警戒感を抱いてきた。このため年金、医療、介護について負担増とサービスの縮小の両面からの改革を進めてきたのだ。

 だが、社会保障費の自然増の伸びを抑制するだけでは解決とならない。団塊ジュニア世代が高齢者となり高齢者数がピークとなる2040年代初頭に向けて社会保障費は増え続ける。

背景にあるのは「現役世代による負担」の限界

 そこで、政府が切り札として考えたのが全世代型社会保障である。「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心」という構造を改め、年齢を問わず個々の負担能力に応じて支える形にしようというのである。

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