キャリア

「タワマンに住んで子どもをサピックスに通わせる」ママ友コミュニティ 同じ生活スタイルでも滲み出る「選民意識」に違和感

住民が語るタワーマンションのメリット

 A子さんはなぜ今の住まいを選んだのか。

「購入した当時、夫と私が通勤に便利なエリアで予算内のマンションを探していたら、条件に合う中古物件を見つけて、それがタワーマンションの5階だったんです。ちょっと汚れていたので私が営業で鍛えた交渉スキルで、買い叩きました」

 夫は大学の同級生で、世帯年収は1300万円。独身時代から続けていた貯金のうち、800万円を頭金にした。

「24時間ゴミ出しができたり、通路の掃除もしてもらえるのは助かります。管理費が高い分、メリットも多いです。あと5階だと階段で出入りができるのも気に入っています」

 そういうメリットがある分、デメリットも感じている。

「自分は狭い世界に住んでいたんだと思いました。世間にはいろんな人がいます。ストレスを抱えています」

 さて、どのようなストレスがあるのか。

「あの元CAのママ、きれいだけど中堅女子大なのよ」

 子育て世代が集まるマンション内のイベントで交流を持つようになったママ友がいるという。今どき珍しいぐらいの地味な見た目の専業主婦で、夫は上場企業の社員。大学の同級生同士の夫婦だという。

「そのママの子どもが性格がいいんですよ。うちの子はちょっといじめられやすい性格なんですが、優しく接してくれて」

 英語学習の話をしている流れで、A子さんはつい自分が上智大学を出ていることを話してしまった。すると、急にそのママは自分が名門高校から難関大出身であることを伝えてきたという。

「最初に『おや?』と思ったのは、元CAで今、パートで販売をやっているママの話題になって、私が『きれいよねえ。顔が小さくて芸能人みたい』と言ったら、彼女が「でも女子大出身なのよ」と呟いて、くすりと笑ったんです。」

 ようは元CAママの出身大学を見下しているわけだが、A子さんは最初、その悪意を読みとれなかった。なので、「このママはおかしい」と気づけず、その地味なママの子と同じサピックスに子どもを入れてしまった。同じマンションの子と一緒に塾に通ってくれれば何かと助かると思ったからだ。

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