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バブル時代におしゃれな“イメージ戦略”で若者を惹きつけた「セゾン文化」 ブランド志向とは正反対の“アンチテーゼ”の側面も

バブル期に花開いた「セゾン文化」とは(渋谷パルコ。時事通信フォト)

バブル期に花開いた「セゾン文化」とは(渋谷パルコ。時事通信フォト)

 企業の業績拡大や不動産の価格上昇などにより日経平均株価は高騰を続け、かつて日本が狂乱の宴に酔いしれたバブル時代に記録した最高値・3万8915円超えが目前に迫ってきた。バブル時代の世相や文化を今こそ振り返り意義を問いなおすことは、日本の今後を考えるヒントになる。

 消費意欲が旺盛なバブル時代、世界に誇る日本カルチャーの数々が花開いた。そのひとつが、堤清二氏率いるセゾングループ(当時の西武グループの流通部門)が牽引した「セゾン文化」だ。

 西武百貨店や西友が中核を占める企業グループのなかで、パルコや無印良品、WAVE、ロフトといった若者向けの小売店が展開され、セゾン美術館やパルコ劇場が現代美術や演劇文化の発信拠点となった。広告には「おいしい生活。」などのコピーが話題を呼んだ糸井重里ら有名クリエイターを多数起用し、斬新な作品が話題を呼んだ。

 単にモノを売るだけではない、おしゃれな「イメージ戦略」は多くの若者を惹き付け、一世を風靡。セゾン文化の興隆はバブル時代の一側面として語られることが多い。『セゾン文化は何を夢みた』(朝日新聞出版)の著者で作家の永江朗氏が話す。

「バブル時代、多くの文化人がセゾンカルチャーから羽ばたきました。直木賞作家の車谷長吉さんはバブル期にセゾングループの社員だったし、芥川賞作家の阿部和重さんは、かつて渋谷公園通りの劇場でチケットのモギリをやっていた。

 批評家の浅田彰さんは『セゾン文化の最大の貢献は優秀な若手文化人を食わせたことだ』と評していました」

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