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バブル時代におしゃれな“イメージ戦略”で若者を惹きつけた「セゾン文化」 ブランド志向とは正反対の“アンチテーゼ”の側面も

セゾン文化はバブルへの“アンチテーゼ”

 消費文化の拡大過程で、セゾンは自社のクレジットカードを若者にも普及させ「カードによる消費文化」を根付かせた。

「割賦販売と言われたカードでの支払いは『借金して買う』ネガティブなイメージでしたが、堤氏はそれを利便性の高いものとして普及させようとした。西武百貨店などで顧客の開拓に注力し、バブル期にはカード=ステータスの証へと転換していきました」(同前)

 バブル崩壊後の30年の間に中核の西武百貨店を含む企業が次々と売却され、グループは解体したが、パルコやパルコ劇場、ロフトなどは今なお営業を続けている。

「当時から『文化にお金を費やして経営危機を迎えた』と批判がありましたが、今も社会に定着して残っているものが多いのです」(同前)

 一方、「セゾン文化はバブルへの“アンチテーゼ”の側面もあった」と永江氏は言う。

「典型的なのが無印良品です。商品にロゴを入れず、誰のデザインかも明示しないことで、バブル期に流行ったブランド志向と正反対のことをやった。堤清二氏は私のインタビューに、無印は『モノの本質に向き合って商品を選択するような消費者を育成するためにつくった』と答えていた」

※週刊ポスト2024年2月23日号

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