豪華絢爛な機内食の変遷
飛行機の進化の歴史を振り返るうえで、機内食についても触れておきたい。
1951年に誕生した日本最初の機内食は紙箱入りのサンドイッチ。ハムと卵、チーズをはさんだごくシンプルなものだった。1954年から、各国の航空会社で広く採用されていたフランス料理の提供を開始。運航便数の急激な増加に伴い、羽田や成田に機内食工場が建造、増築され、調製能力が飛躍的に向上していった。
生産体制の拡充に伴い、国際線を舞台にメニューは進化。2005年には国際線の一部で機内で炊いたコシヒカリの提供も可能となった。技術革新によりメニューのバラエティが広がり、飲食店との提携が進んだ。今日では、和の食材を駆使した一流シェフによる味を楽しめるほか、ヘルシーさ重視や菜食主義に配慮した料理も充実。“美味しい”だけではない多様性ある味が供されている。
1954年。現在のエコノミーに相当するツーリストクラスで提供されていた機内食。紙製のボックスをトレイとして使用していた(写真提供/JAL)
2024年の機内食は多様化。ビジネス・ファーストクラスでは米澤文雄シェフが監修したヴィーガン・ベジタリアン機内食も提供される(写真提供/JAL)
2024年。事前予約による機内食も。ビジネスクラスで提供の「あわびとほたてのスパイシー“香辣(シャンラー)”ソース」(写真提供/JAL)
2023年11月よりメニューが一新したプレミアムエコノミーとエコノミーの機内食「つくねのピーマン添え 豚バラ焼き鳥丼」(写真提供/JAL)
取材・文/小野雅彦
※週刊ポスト2024年3月22日号