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「歯石除去のために預けた動物病院で愛犬が亡くなった」 医療ミスだと認めない病院に慰謝料を請求できるのか

病院に慰謝料などを請求することはできるのか(イラスト/大野文彰)

病院に慰謝料などを請求することはできるのか(イラスト/大野文彰)

 深刻な問題となる「医療ミス」。それは人間だけでなく、ペットについても同様だ。動物病院の医療ミスで愛犬が亡くなった場合、慰謝料などを請求することはできるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 愛犬の歯石除去をするため、動物病院に預けました。その後、病院から容体が急変したためすぐに来てほしいと連絡があり駆けつけましたが、愛犬は死亡してしまいました。病院から謝罪はありましたが、愛犬の死亡した原因が医療ミスだとはっきりとは認めてくれず、納得いきません。病院に慰謝料などを請求することはできますか。(東京都・47才・会社員)

【回答】
 動物病院の施術などに過失があり、その結果、愛犬が死亡したのであれば、病院は損害賠償責任を負います。しかし、そのためにはどんな過失があったかを把握しなければなりません。

 過失とはこの場合、獣医師として通常守るべき注意義務に違反することをいいます。そして、その過失によってペットが死亡したといえる関係(因果関係)が必要です。

 ご質問では、謝罪はあるものの、はっきり医療ミスとは認めないとのことです。これでは死亡と因果関係のある過失が何かわからないので、損害賠償の請求は困難です。しかし、きちんとした説明を要求できます。

 動物病院に愛犬の歯石除去を依頼した関係は、あなたと病院とが準委任契約を締結したことになります。この契約には民法の委任契約の規定が準用されますが、民法645条では「受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない」と定められています。

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