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【長引くがん治療が家計を圧迫】収入が途絶え、貯蓄もなくなったら困窮は避けられないのか? FPが「使える制度」をアドバイス

がんステージ別仕事を休んだ日数

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生命保険を解約せずにお金を借りられる契約者貸付制度

 貯蓄もなく頼れる親族もいない場合、がん治療に伴う困窮は避けられないのか。井戸氏が言う。

「治療でまとまったお金が必要になるとカードローンなどで急場をしのぐ人がいますが、年利10%超のものもあり、支払いはさらに厳しくなります。まずは病院の医療ソーシャルワーカーなどに事情を説明し、分割払いや支払い期日の延期ができないか相談しましょう」

 また、高額療養費制度の「限度額適用認定証」がなく、窓口で高額な医療費の一時立て替えが必要になった場合は「高額療養費資金貸付制度」が利用できる。

「加入する健保組合や自治体窓口で申請すれば還付される高額療養費の8~9割を無利子で借りることができます」(同前)

 低所得世帯や65歳以上の高齢世帯では、「生活福祉資金貸付制度」(都道府県社会福祉協議会)も選択肢となる。

「がん治療で収入が減ったり無収入となった場合、生活再建に必要な資金として利用できます。条件を満たせば、原則3か月間(最大12か月まで延長可能)、2人以上の世帯で月20万円まで借りられます。連帯保証人がいれば無利子、いなければ年利1.5%です」(同)

 さらに、終身保険など解約返戻金付きの生命保険に加入している場合、「契約者貸付制度」を利用するのも手だ。

「治療費を捻出するために保険を解約すると保障もなくなってしまいます。解約せずにお金を借りられる契約者貸付制度の利用が有効でしょう」(同)

 貸付金額は契約により、利率はおおむね2~6%前後が相場だという。

 がん闘病が長期になるリスクを想定し、制度を確認しておきたい。

(了。前編から読む

※週刊ポスト2024年4月5日号

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