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電車の「ガタン、ゴトン」という音を過去のものにした、ロングレールと伸縮継ぎ目の効果

安定した高速走行を実現するためのロングレールと伸縮継ぎ目

 このような悪影響が生じにくくするため、近年の鉄道では、ロングレールと伸縮継ぎ目の導入が進められています。

 ロングレールとは、レールを溶接して長くしたもので、長さが200メートル以上のものを指します。ロングレールを導入すると、線路全体の継ぎ目の数を減らすことができます。

 伸縮継ぎ目は、車輪が通過したときに音や衝撃が発生しにくくしたレールの継ぎ目です。継ぎ目部分のレールは斜めになっており、車輪が転がるレールが徐々に変わる構造になっています。

伸縮継ぎ目。斜めになったレールが向かい合う構造になっている

伸縮継ぎ目。斜めになったレールが向かい合う構造になっている

 ロングレールと伸縮継ぎ目は、日本のすべての新幹線に導入されています。これは、騒音を減らすだけでなく、安定した高速走行を実現するためです。

 また、新幹線以外の日本の鉄道でも、ロングレールと伸縮継ぎ目の導入が進められています。とくに大都市圏の路線や、幹線路線のように、列車の運転本数が多い路線では、積極的に導入されています。これは、騒音を減らし、走行安定性や乗り心地を改善するだけでなく、線路が受けるダメージを減らし、メンテナンスを容易にするためでもあります。

 ロングレールと伸縮継ぎ目の普及にともない、「ガタン、ゴトン」という音が出る鉄道は減りました。ぜひ今度鉄道を利用したときに、列車が走るときの音に注目してみてください。ポイントを通過するときを除いて「ガタン、ゴトン」という音がしなければ、その線路にはロングレールと伸縮継ぎ目が使われているはずです。

【プロフィール】
川辺謙一(かわべ・けんいち)/交通技術ライター。1970年生まれ。東北大学工学部卒、東北大学大学院工学研究科修了。化学メーカーの工場・研究所勤務をへて独立。技術系出身の経歴と、絵や図を描く技能を生かし、高度化した技術を一般向けにわかりやすく翻訳・解説。著書多数。

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