低価格でもおいしい理由
ラテが身近になった前段階として、コンビニやファストフードで、安くておいしいコーヒーを提供できるようになったことが大きいと思います。
筆頭はマクドナルドで、2008年に100円でプレミアムローストコーヒーを発売。この年だけで2億6000万杯を売り上げるヒットとなったそうです。
その後も改良を重ね、2018年には、2014年のワールドバリスタチャンピオンシップで優勝したバリスタ、井崎英典さんがコーヒーとラテを完全監修し、おいしさがグンとアップしました。ぼくも、「こんなに本格的なコーヒーが150円(当時)で飲めるのか!」と驚いた記憶があります。
マクドナルドは2012年から、店舗内に専任のバリスタを置いた「McCafe by Barista(マックカフェ バイ バリスタ)」を展開しており、バリスタが注文ごとに豆を挽き、なめらかなスチームミルクのラテを作ってくれるのですが、豆のクオリティーが高いのに、価格は250円(Sサイズ)~。マクドナルドの企業努力を感じます。
コンビニ業界は、いまでは当たり前の全自動マシンをいち早く、2013年に導入したセブン-イレブンが牽引者でしょう。
「セブンカフェ」と名付け、1杯ずつ豆を挽いてドリップするコーヒーが100円で飲めるのは画期的でしたよね。いまでは多くのコンビニで著名なバリスタとコラボしたり、厳選した豆や牛乳を使ったコーヒーが飲める時代になりました。
なぜこんなに安く提供できるのかというと、利益はさておき、おいしいコーヒーをフックにお客さんを増やし、サンドイッチやスイーツなどの主力商品を買ってもらうためだと思います。それでも、安くておいしければありがたいですよね。
ラテは、生チョコレートやティラミスなどのほろ苦いスイーツと合うので、コンビニに行った際は、ぜひ試してみてください。
【プロフィール】
コーヒーソムリエ・Kazuさん/Yahoo!ニュース エキスパート・クリエイターとして大手コーヒーチェーンやバリスタ・チャンピオンなどを取材し、情報を発信中。また、モーニング研究家としてテレビにも出演。Instagramのアカウントは[@kazu_coffeesommelier]。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2024年4月25日号