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キャリア

「高1でbe動詞がわからない」受け身で過大な量の勉強を続けた結果、中高一貫校の“深海魚”に 中学受験にありがちな「勉強を強制させられるリスク」

大学受験や社会に出てから必要になる「自分から学ぶ力」

 むしろ東田氏は、中高一貫校に通う生徒を待つ「大学受験」や、社会人になった後を見据えた「自立学習」の習慣を重視する。

「多くの子にとって、受験は中学受験で終わりではなく、6年後には大学受験が控えています。自立的に学習する習慣をつけないと、いずれは自立学習を身につけた子たちに引き離されるでしょう。

 自立学習とは、自分で目標を立て、その目標を達成するために自分の学力を評価して何が足りないかを見定め、それを埋めるための学習プランを立てて、自らを律して実行していくという学習のスタイルです。自分の意思で学ぼうとする子が伸びるのは言うまでもありません。『自分から学ぶ力』は、大学受験だけでなく、社会に出てからも必要になります。

 本人のキャパを超えるほど負荷が大きいと、自立学習を身につけるのが困難になり、塾や個別指導塾、家庭教師などに依存せざるを得なくなります。保護者は過度な干渉を控え、短期的な成果を求めず、失敗も許容する寛容さを持ち、子供本人の自立を促していくことが何より大事だと思います」(東田氏)

 中学受験をするにしても撤退するにしても、自立型の学習スタイルを身につけることが大事なことは変わらない。目先の偏差値にとらわれ、その点を見失わないようにしたいものだ。

 次回は、中学受験に注力する際、それまで続けてきた「習い事」をどうすべきかや、公立校で進む「中高一貫化」の影響などについて、東田氏の意見を聞く。

第4回に続く

【プロフィール】
東田高志(ひがしだ・たかし)/Xで 4.6万 フォロワー(2024年7月現在)のいる教育系インフルエンサー。首都圏の受験情報を毎日配信している。実生活では、20 年以上のキャリアを持つ塾講師。学校と塾の変化を見続け、現場を知り尽くし、小・中学生を教えてきた。教え子のなかには、中学受験の撤退組、全滅組がおり、中学受験が合わなかったと感じる子どもをたくさん見てきた。2024年5月、保護者からの疑問に答える『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと』(Gakken)を上梓。フィールドワークとして都内各地の公立中学校や都立高校を訪問し、区議会議員とのコラボイベントも開催している。

取材・文/清水典之(フリーライター)


【シリーズ全5回】
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