メタル専門誌の表紙に登場するバンドも還暦超え
ベテランバンドなら客の平均年齢が上がるのは当たり前。本来なら座席は“座るため”に存在するのだから、正しい姿に戻ったとも言えるが、この光景はIRON MAIDENに限ったものではないという。メタルに詳しい音楽ライターが言う。
「ハードロック&ヘビーメタルがピークを迎えたのは、BON JOVI、DEF LEPPARD、GUNS N’ ROSES、WHITESNAKEといったバンドがビルボードのアルバムチャートの上位を占めた1980年代の後半です。海外では90年代に入って失速したものの、日本ではむしろ90年代がピークでしたが、そこから日本は“ガラパゴス化”します。
海外では新人バンドがどんどん登場し、適度にファンも入れ替わりましたが、日本のメタル界隈で人気が高いのは、70年代や80年代から活動しているバンドか、日本だけで人気がある“Big in Japan”のバンドばかり。以降、今に至るまで新陳代謝がほとんど進まず、メタルバンドの来日公演の平均年齢は年を追うごとにどんどん上がっています」(音楽ライター)
メタル界の世代交代が全く進んでいないことは、メタル専門誌「Burrn!」の表紙を飾ったアーティストを見れば一目瞭然だ。同誌は2024年10月号で40周年を迎え、40年を振り返る特集コーナーを設けているが、2024年発売号の表紙を見ると、
1月号:David Coverdale(WHITESNAKE)
3月号:KISS
4月号:JUDAS PRIEST
6月号:Bruce Dickinson(IRON MAIDEN)
7月号:Slash(GUNS N’ ROSES)
8月号:MR.BIG
10月号:IRON MAIDEN
と、10号中7号が80年代から活躍しているアーティスト。この他にもMETALLICA、AC/DC、MOTLEY CRUE、HELLOWEEN、MEGADETH、BLACK SABBATH、Ozzy Osbourne、Michael Schenker、SLAYERなどが2020年代に入って表紙を飾っており、オールドスクールなバンドが占める表紙を飾る割合は8割を大きく超える。これらのバンドのメンバーは全員が還暦超えだ。