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《どん底からの巻き返し物語》斎藤元彦・兵庫県知事の大逆転勝利の背景をオバ記者が考察 「直前の衆院選の“物足りなさ”も影響したのでは」

兵庫県知事選で再選を果たし挨拶する斎藤元彦氏(時事通信フォト)

兵庫県知事選で再選を果たし挨拶する斎藤元彦氏(時事通信フォト)

 パワハラ問題で議会から不信任議決を受けた斎藤元彦氏が、まさかの再選を果たした兵庫県知事選。この結果は日本全国に大きな衝撃を与えたが、女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんも驚いた一人。オバ記者が、斎藤氏が選挙で勝った裏側を考察する。

 * * *
「人生には上り坂と下り坂ともうひとつ、マサカという坂がある」というオヤジギャグが思わず口をついて出てきたほど、兵庫県の齋藤元彦知事(47才)再選のニュースにショックを受けた私。

 2か月前までメディアで連日あれほど叩かれていた人が当選する? いやいや、無理でしょ。「あと一歩のところまで追い上げたんだけどねぇ」というのがせいぜい、と思っていたわけよ。

 兵庫県庁内で何が起こっていたのか、本当のところは私にはわからないよ。でも、あれだけ来る日も来る日も記者の囲み取材に応じていたら、彼の“お人柄”はわかる。誤解を恐れずに言えば、強情なんだよね。「真実相当性」「嘘八百」「公務員失格」など、彼が何度も繰り返した言葉が私の耳の奥にまだ残っているもの。

 だけど、強情は“信念の人”と言い換えられるかもしれない。打ち出した政策や行動の正しさを本人は心の底から信じているから、怯むことなく人前に立って自分の考えを述べて、やがてそれが少しずつ兵庫県民の心に届いていった……のか?

 今回の選挙について、「『新聞、テレビは“悪”という窓から世の中を見ている』と信じ込んでいるSNSにどっぷりの人と、SNSから一定の距離を保って『自分はデマ・陰謀論に踊らされないぞ』という人の対立だった」と言う人もいる。

 その見方には納得。というのも、新聞やテレビって手を止めないと見られない。でもSNSは“ながら”で見たり聞いたりするのに都合がいいんだよね。私もYouTubeどっぷり派だもの。

 だからわかるんだけど、いつの間にか刷り込まれることがあるのよ。この夏、齋藤元彦という人の顔がどれだけ世の中に拡散されたことか。いいも悪いもない。あれだけの頻度で報道されたら、すっかり“おなじみの人”よ。それに比べると、大本命だった稲村和美さんは兵庫県民か政治通でないと顔と名前が一致しない。

 海の向こうのトランプだってそうよ。

 まさか私もあれだけ嫌われ者の彼が返り咲くとは思わなかったけど、じゃあ、対立候補のカマラ・ハリスさんの顔をトランプ以上に見ている人がどれだけいたか。いいも悪いもない。もしかしたら政策もどうでもいいのかも。それより“顔や声をより深く脳裏に刷り込むかで決まるのがSNS社会”といわれると、とても腑に落ちるんだわ。

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