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森口亮「まるわかり市況分析」

【トランプ関税で市場は混乱】米大統領選挙翌年には「痛みを伴う政策」が取られやすい傾向 選挙サイクルと政策の動向から見えてくる中長期的視点のポイント

選挙のサイクルを睨んだ政策展開

 そもそも米国の大統領の任期は4年間で、次回の大統領選挙は2028年に行われます。この4年間の大統領選挙サイクルにおいて、1年目は最も痛みを伴う政策が実行されやすい時期だと言われています。

 その理由は、2026年の中間選挙や2028年の大統領選まで時間があるためです。株価における大統領選挙サイクルを調べてみると、選挙翌年の市場パフォーマンスは、選挙前年や選挙年と比較して悪化しやすい傾向にあります。

 実際、選挙が近づくと景気刺激策が多く打ち出されることが多く、2023年・2024年には米国の主要株価指数であるS&P500が20%を超える上昇を連続で記録していました。しかし、その急な上昇の反動が出やすいこの時期に「関税引き上げ」の発動が発表されたことで、今後も追加措置が取られる可能性も懸念されています。

中間選挙の年に底を打つ傾向

 痛みを伴う政策として「関税」がフォーカスされたことで、2025年の相場の先行きはより不透明になってきました。もし、ここから株価が調整局面に入るとすれば、2026年に底入れする可能性もあるのではと考えています。

 1961~2013年の間に、米国は計16回の景気後退を経験しました。そのうち9回は中間選挙の年に底を打っています。また、過去45年間の大統領選挙サイクルの年間パフォーマンスを分析すると、中間選挙の年のパフォーマンスが低く、選挙前年のパフォーマンスが最も高い傾向が見られました。

 もちろん、これは過去のデータを基にした傾向分析であり、今回のサイクルも同じ結果になるとは限りません。しかし、過去の実績を見る限り、この傾向の確率はそれなりに高いと言えるでしょう。

 現在、米国の主要株価指数は依然として史上最高値圏にありますが、短期的な株価の動きを正確に予測するのは極めて困難です。

 そうしたなかで、今回のように長めの時間軸で過去の実績を分析し、確率の高いシナリオを把握しておくことで、焦らずに損切りや次に取るべきポジションを見極めることができるのではないでしょうか。

 短期的な動きに一喜一憂し感情を乱してしまうと、非合理的な投資行動をとりやすくなることは、数多くの行動経済学の結果が示しています。変動幅が大きくなりやすい時期だからこそ、リスク管理を徹底し、冷静な投資判断を行えるような準備をしたいものです。

【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている

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