バリュー投資家・ヘムさんはトランプ・ショックで荒れる日本株市場をどう見ているのか(ABACA PRESS/時事通信フォト)
米トランプ政権の「相互関税」政策によって、世界経済は大混乱に陥っている。日経平均株価も乱高下し、先行きは極めて不透明だ。これから日本の株式市場はどうなっていくのか。そこに希望は見出せるのか――独自の投資手法により4億円超の資産を築いた投資家兼会社経営者のヘム氏に話を聞いた。
京都大学卒業後に総合商社に入社したヘム氏が投資を始めたのは社会人1年目だった1999年。銀行の窓口で勧められるままに、当時注目されていたIT系やバイオ系のテーマ型投資信託を購入したが、手痛い洗礼を受けたという。
「この種のファンドは手数料が高く、相場の天井圏で組成されやすい。ITバブル崩壊後に半値近くで損切りすることになり、大きな損失で終わりました。
その後、私は個別株投資を始めたのですが、当初は財務諸表を読むことができず、“これからは××の時代だ”みたいな軽いノリで銘柄を選定していました。高齢化の時代だから介護関連株、ネット通販が増えるから運送関連株、というような感じでしたね。しかし、こうした素人の思いつきのような予想は、すでに株価に織り込まれていることが多く、思うような成果は得られませんでした。
試行錯誤を重ね、やがて私は本質的価値よりも割安な株を買う『バリュー株投資』に出会い、現在の投資スタイルを確立することになります。以来、長期にわたり資産を築いてきました」(以下、「」内はすべてヘム氏)