付属校のカリキュラムが総合型選抜に強みを発揮している(イメージ)
推薦入試が大学進学の主流となりつつある中、早期に進路が保証される私立付属校の人気は高まっている。そこに近年では、内部進学だけでなく、総合型選抜で他大学への進学も可能な「進学校型付属校」も登場してきた。読解力や探究学習など、推薦時代に適した教育内容とはどのようなものなのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする「“推薦6割”時代の付属校進学という選択」。【全3回の第3回】
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「推薦入試が6割の時代」に付属校への進学は果たして有利なのかという問題について書いている。
大学入試が大きく変わろうとしている中で、先が見えない不安感から、早めに“利確”を目指して、付属校を希望する受験生が増え、付属校人気が高まっている。一方で推薦入試も多様化し、国立大学の総合型選抜や公募制推薦も拡大している。国立大学への入学者の24%がすでに推薦入試組だ。早稲田大学や慶應義塾大学も推薦入試の枠を拡げており、慶應の経済学部が指定校推薦を始めたことが話題になっている。
その中で、付属校への進学は本当に大学進学へ有利なのだろうか。第1回、第2回記事では付属校進学のリスクを紹介した。今回はメリットについてレポートしていこう。
推薦入試を拡大するといってもメインは指定校と内部推薦
文部科学省は推薦入試を拡大する方針だ。そこに商機を見いだした新興の塾関係者の一部が「これからは総合型選抜が主流。一般選抜対策をしている進学塾は全部潰れる」と煽っているが、これは間違いだ。総合型選抜は面接や小論文があるので手間がかかるため、そうそう簡単には拡大できず、大学は指定校推薦や内部進学を増やしている。高校が責任を持って、優秀な生徒たちを送り込んでくるからだ。
慶應の経済学部も総合型選抜ではなく、指定校推薦を始めた。
そのため、早稲田や慶應、MARCHといった難関私大へ進学したいならば、付属校からの内部進学は有利になろう。
かつて早稲田高校から早稲田大学への進学は希望者全員ができたわけではなかったが、今は基本、希望すれば叶うようになっている。
確実に難関大学に進学できるという意味で、付属校の魅力は高まるばかりだ。