中国人向けSNSでの米転売の投稿(『小紅書』より)
「コメの価格が下がっても、長期的には国益を損ねる」
だが、コメの生産を所管する農林水産省はこの流れに猛反発した。江藤拓・農水相は記者会見でこう語気を強めた。
「日本で作れるものはできるだけ国内で作ることによって、食料自給率を上げていこうということが大きな柱です。もし大量に、主食であり自給可能なコメを海外に頼る体制を築いてしまって、国内生産が大幅に減少してしまうということが国益なのかということは、国民全体として考えていただきたい」
前出の政治部記者は、「参院選を控える自民党幹部からも『コメは政治的な問題』『農業を守ることが前提』などと支持層である農家に配慮した発言が相次いでいます」と指摘する。
短期的にはコメの価格が下がっても、長期的には国益を損ねる──。それが輸入米の拡大を阻止したい勢力の理屈だ。
だが、阻止派の主張は本当に正しいと言えるのか。後編記事:《トランプ関税交渉カードに米国産のコメ輸入拡大案 「外圧を利用した方が国産米にとっても長期的な安定供給に繋がる」との指摘、輸入米増加が改革を進める好機に》では、農業経営学者や農家の声をもとに、トランプ氏の“外圧”がコメの安定供給に繋がる可能性についてレポートしている。
※週刊ポスト2025年5月9・16日号