中国人向けSNSでの米転売の投稿(『小紅書』より)
外圧を利用したほうが安定供給に繋がる可能性
あくまで現状維持の延長線上でやっていく考えのようだが、むしろ強権的なトランプ氏の“外圧”に応じて輸入米を普及させるほうが、目先の国産米の値下がりだけでなく長きにわたる安定供給に繋がる可能性があるとの指摘もある。前出・大泉氏が言う。
「現状では稲作農家の8割を零細農家が占めており、それぞれの規模が小さい非効率なコメ作りになっている。輸入米が増えるなか、競争のために農地を大きくして生産性を上げ、コストを下げる農家が増えてきています。生産性の高い農業経営者が増えれば国産米の価格が下がる。コメが余ったら輸出に回し、有事には国内消費に回せる。こうした構造改革はすぐには達成できませんが、輸入米の増加が改革を進める契機となり得ることは確かだと考えます」
本当に必要な施策は何か。判断するために残された時間は少ない。
■前編記事:《【トランプ輸入米】米国産コメ輸入拡大は「関税交渉カード」と「国内コメ不足解消」になる一石二鳥プランか それでも輸入米の拡大を阻止したい農水省の思惑》から読む
※週刊ポスト2025年5月9・16日号