カスハラの加害者の属性と性別・年代層は?(パーソル総合研究所「カスタマーハラスメントに関する定量調査」より)
「タレントと同じ髪型に」「枝毛を全部切って」
都内美容室勤務のBさん(30代女性)は、「なるべくリクエストに応えても、最終的にお客さんの理想通りにならないこともある」と、美容師ならではの難しさを語る。
「多いのは、モデルやタレントさんの写真を持ってきて、『こんな感じに』と言うケースです。もちろんわかりやすい例ですから、持参自体は歓迎なのですが、そうはいっても顔や頭の形、髪の量や質によって、同じような髪型でも印象は全く変わってきます。
それをご説明したうえで、その方が何を理想とするのかをヒアリングし、髪型をご相談させていただくのですが、頑張ってリクエスト通りにしたつもりでも、どこか違和感があるのか、『あのタレントさんと同じにしてって言いましたよね?』と不機嫌になられることも。“あなたの顔はあのタレントさんじゃないんですよ!”……と喉元まで出かかりました」
Bさんは、「美容師の経験値もありますし、いくらこちらが“こっちのほうがいい”と思った髪型でも、お客様が気に入らなかったらダメ。コミュニケーションが大切にはなりますが、理想通りの髪型になっているかどうかは、何年やっても不安」と言う。そんなBさんは、「髪型」以外で罵倒されたことがある。
「髪が傷んでいて、枝毛が多いロングヘアーの女性だったのですが、髪の長さはそれほど変えないまま、枝毛を全部切ってくれというお願いをされました。毛先を整える等はできますが、限られた時間の中で枝毛に対してそこまで作業することはできません。もちろん努力はしましたが、最終的には『まだ残っている。プロなのにこんなこともできないのか!』と捨て台詞を言ってお帰りになりました」(Bさん)