立憲民主党・野田佳彦代表が打ち出した「1年限定の食料品税率ゼロ」の裏にある仕掛けとは
石破茂・首相はトランプ関税や物価高への対策で後手に回り、支持率下落に歯止めがかからない。その先に待つのは単なる「退陣」ではない。現下の危機は、与野党ともに内部に抱え込んできた路線対立を顕在化させ、日本政界に大再編の嵐をもたらすことになるかもしれない──。【第2回。全文を読む】
減税大合唱の裏で増税マフィアがブレーキ
参院選の情勢は「自公の過半数割れ」が濃厚で、石破首相の退陣と政権組み換えに向かうという見方が有力だ。現在とは違う連立の組み合わせが模索されることになる。
そうなった際の大きな力学は2つある。「増税大連立」の動きと、その反動としての「減税勢力結集」だ。
掲載の相関図では、そうした政界の分裂・再編への動きを整理した。
まず見逃せないのは、政界の減税大合唱の裏で、財務省をはじめとする“増税マフィア”がブレーキを踏んでいることだ。
財務省は自民党税制調査会の「インナー」と呼ばれる幹部を核に与党内に強い影響力を持ち、公明党の税制調査会、立憲民主、国民民主など野党にまでネットワークを張り巡らせている。
自民党の政治資金スポンサーの経団連と、立憲民主や国民民主の支持母体である連合も取り込んでいる。消費税率が上がるほど「輸出戻し税」[*]で還付が増える輸出大企業が主流を占める経団連は「消費税率引き上げ」を提唱してきたし、やはり輸出大企業の労組の影響力が強い連合の芳野友子・会長も消費減税は「今の段階では考えていない」と否定的だ。
[*注:輸出製品には消費税が課せられないため、輸出業者は仕入れ段階でかかった消費税分を国・自治体から還付(控除)される仕組み。輸出比率が高い企業は、国内で販売した製品にかかる消費税より、輸出還付金が多くなるため、「輸出補助金だ」とする指摘もある]
減税要求の拡大にブレーキをかける財務省の次の狙いこそが参院選後の自民と立憲民主の「増税大連立」だ。
実は、立憲民主の野田氏が打ち出した「1年限定」の食料品税率ゼロの裏にそのための仕掛けがあるという。