【3】は、他人の土地を所有の意思をもって一定期間占有することで成立します。その期間は自分の所有と思っていたことに過失がなければ10年、それ以外は20年です。時効が認められるかは、この時効期間の経過のほか、所有の意思が問題になります。所有の意思と矛盾する事情の有無を調査する必要があります。
【4】ですが、隣家の土地が公道や公道に出られる私道等に接していない場合や、公道に接していても著しい高低差がある場合などは、公道に出るために周囲の土地を通行する権利があります(囲繞地通行権)。ただし、周囲の土地の所有者にとって最も負担の少ない範囲に限定されます。また、周囲の土地が複数あれば囲繞地が分筆された元の土地を通行できるだけです。そこで、土地の形状のほか、分筆経緯など土地の来歴も調査する必要があります。
このように多岐にわたる問題があるので、優先順位をつけて解決していくことが必要です。弁護士会の法律相談センターで助言を受けることをおすすめします。
【プロフィール】
竹下正己・弁護士/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2025年5月22日号