暴落時の狼狽売りは「最も愚かな行為」と断じる資産800億円の投資家・清原達郎氏(撮影/野口博)
トランプ関税の影響で大荒れとなった日本株市場だが、「暴落時にパニックになって売ってしまったら、投資はその時点で失敗です」というのは、資産800億円の投資家・清原達郎氏。先行きの見えない時代に投資で成功するためにはどういった視点を持てばよいのか──。
トランプ関税をきっかけに世界的に株価の乱高下が続いている。米国の関税強化策が発表されると、4月7日の日経平均株価は史上3番目の下げ幅となった。ところが関税の一部停止が発表されると市場のムードが一転。同10日の日経平均は史上2番目の上げ幅となった。
多くの投資家が狼狽するこうした状況に、「乱高下はそのうち収まるでしょう」と説くのは、投資家の清原達郎氏だ。
かつてヘッジファンド・タワー投資顧問の運用部長として辣腕を振るい、伝説のファンドマネージャーとしてこれまでに800億円を超える個人資産を築いた清原氏は、2018年に咽頭がんの手術で声帯を失い、2023年に引退。昨年3月に上梓した『わが投資術 市場は誰に微笑むか』(講談社)は25万部を超えるベストセラーになった。
その清原氏は本誌『週刊ポスト』のメール取材に応じ、トランプ関税に慌てる必要はないと主張する。
「トランプ大統領の関税の発表はあまりにも極端でした。これ以上の悪材料は株式市場には見当たりません。株価の乱高下はそのうち収まるでしょう」(清原氏・以下「」内は同じ)
日々移り変わる株価に一喜一憂する投資家が多いなか、清原氏は「そもそも相場は簡単に予想できるものではありません」と強調する。
「日米とも株価は歴史的に見て高値圏にあります。さらに下がってもおかしくありません。ただ相場のリスクというのはあらかじめ可能性として意識できる部分は小さく、『えっ』という全く予知してなかった部分が大きいのです」
トランプ関税が今後の株価にどう影響するか、正確には誰にもわからない。であるならば、気にしても仕方がないというのが清原氏の持論だ。