輸入食品が消費者に届くまで(イラスト/河南好美)
「日本の輸入食品の検査体制は大きく分けて4つあり、国が自ら行なう『行政検査』と『モニタリング検査』、輸入業者自身が自らの費用負担で行なう『検査命令』『自主検査(指導検査)』があります。
一見すると万全の体制のように見えますが、厚生労働省の輸入食品監視統計では2023年度に235万件あった食品輸入に対して、同法に基づく検査件数は20万件弱と、検査率は8.5%でした。ここ数年間は検査率一桁台が続いています」
背景には、検疫所で検査業務を担う「食品衛生監視員」の人員不足があるという。厚労省に聞くと、全国の検疫所に在籍する食品衛生監視員は「422人」だった(24年4月1日時点)。
「監視員を3000人くらいまで増やせば検査率も40~50%台まで届き、輸入食品の安全性が高まるかもしれませんが、国家公務員である監視員の定員を増やすのは難しいのが現実です」(同前)
さらに、2023年度の輸入食品検査で約5万件(検査総数の約25%)が実施された「モニタリング検査」にはこんな問題もある。
「モニタリング検査は食品衛生法違反の可能性が低いと考えられる食品を対象にした検査で、結果を待たずに輸入することができます。モニタリングで違反が判明した時には、食品がすでにスーパーや飲食店に出回っているケースがあるのです」
(同前)