高値の時に売って儲けようとは考えない
長期株式投資氏はキャピタルゲイン(売買差益)よりも配当によるキャッシュフローを増やすことを重視しているため、基本的には一度買った株は売却せずに長く保有し続けるという。
「配当利回りに納得したうえで銘柄を買っているので、減配になったりしない限りは売却する理由がない。もちろん、明らかに株価が高くなったら売却することもちょっと考えますけどね。ただ、高値の時に売って儲けようと考えるとキリがなくなり、判断が難しくなる。やはり配当が一番分かりやすいし、成果も見えやすい」
世界中を振り回すトランプ関税によって、日本の経済、株式市場も不透明な状況が続いているが、長期株式投資氏の投資スタイルは“予測をしない”ということを前提にしているという。マクロ的なことは予測しようがないため、あまり深く考えても仕方がないというスタイルだ。最低限の知識として、IMF(国際通貨基金)が出している「世界経済見通し」を読めば十分だという。
「直近の世界経済見通しは4月に公表されましたが、世界経済は減速する見込みで、トランプ政権の関税政策によって下振れリスクが高まっていく、予測不可能な状況になっている、というようなことが書いてありました。押さえておくのはそれくらいでいいのではないかと思います。
日経平均株価の動きもそこまで気にしていません。ただ、日経平均のPERがレンジの上のほうにあると相場全体に過熱感があるということなので警戒しなければいけないですし、レンジの下のほうになった時は株が売られすぎているということなので、全体的にチャンスと捉える。そういう判断材料にはなると思います。
先ほども言ったように、EPSが安定していて、PERがレンジの下のほうまで低くなっていて、配当利回りに納得できるという3つの条件を満たしていれば、マクロ経済がどう動こうが、投資としては的確だと私は判断します」
そう語る長期株式投資氏は現在、具体的にどのような銘柄に注目しているのか。関連記事『《億り人が厳選!長期投資向き7銘柄》「配当をもらいながら2030年代の巨大プロジェクトを待つオイシイ銘柄」から「名証上場の割安銘柄」まで資産1.8億円の長期株式投資氏が解説』で詳しく解説していく。
【PROFILE】
長期株式投資(ちょうきかぶしきとうし)/1977年生まれ。「日本の配当株」専門の投資家。2004年から株式投資を始め、リーマンショックを経た2009年にポートフォリオを大型配当株メインにスイッチ。以降は安定的に資産を増やし、2023年に長年勤めた会社を45歳で早期退職。現在は投資教育をライフワークとする。2024年の税引き後の手取り配当額は471万円(米国株、J-REIT含む)、運用資産1.8億円。『フルオートモードで月に31.5万円が入ってくる「強配当」株投資』(KADOKAWA)などの著書がある。