世襲政治家ならではの大きな“議員特権”も存在(小泉進次郎氏)
江藤拓・前農水相の「コメ買ったことない」発言から見えるのは、庶民感覚の欠如ではなく、特権を特権とも思わない無自覚さだ。そして、江藤氏の後任の小泉進次郎氏も議員特権の恩恵をフルに受けてきた政治家だ。
父の小泉純一郎氏は首相時代、年金加入記録に絡んで議員当選前に勤務実態のない企業から給料を受け取り、厚生年金にも加入させてもらっていたことを国会で追及された。
すると、「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろです。全部社員が同じように一定の時間に会社に出て、一定の時間に会社を退出して、そして机を並べている社員も多いでしょう。しかし、家にいてもいいよ、あるいは、海外旅行してもいいですよという会社もあるんです。それでも社員です」と開き直り、「30年以上前はそういう太っ腹な、見返りを期待しない、いい社長がたくさんいた」と言ってのけたことがある。
まさに“ごっつぁん”政治家の典型だった。
進次郎氏はその純一郎氏から地盤を引き継いだ際(2009年)、父の政党支部(自民党神奈川県第11選挙区支部)に残っていた5163万円をそっくり無税で引き継いだことが報じられている。
資産を父から無税で引き継げるのは、世襲政治家の最大の特権だ。
また、進次郎氏は滝川クリステル氏と結婚後、都内にある滝川氏のマンションで生活しながら、赤坂の議員宿舎も格安家賃で借りていたと報じられた。議員宿舎には「東京23区内に住居を所有する議員」は入居できないというルールがあるが、配偶者のマンションとの二重生活はルールの穴をつくような方法と言える。
「うちは息子も娘もまだ小さいから『すぐに時短であげなきゃ』という時はパックご飯も買う。コメについて今不安を持たれている方と同じように、もしもスーパーや売り場の棚にコメがないということがいかに日々不安かも感じるところがあるので、しっかりとそういう感覚を持って、消費者目線でコメの政策を進めてもらえると思ってもらえるように政策でお返ししたい」
進次郎氏は農水相就任要請を受けた後、首相官邸のぶら下がり会見でそう語ったが、コメ価格高騰に苦しむ国民の怒りを理解し、向き合うことができるのかは甚だ疑問だ。
進次郎氏のみならず、石破氏、江藤氏も世襲政治家である。親の代から国会議員の特権にどっぷり浸かってきたからこそ、特権が特権であることにすら、無自覚なのではないか。
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※週刊ポスト2025年6月6・13日号