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ビジネス
日本製鉄のUSスチール買収問題

日本製鉄のUSスチール買収「黄金株」導入案は「トランプ氏のメンツを保って完全子会社化を実現する知恵」との指摘 大統領任期が残り3年半のなか投資を先行させる意義

USスチールのエドガー・トムソン製鉄所(米ペンシルベニア州/時事通信フォト)

USスチールのエドガー・トムソン製鉄所(米ペンシルベニア州/時事通信フォト)

「黄金株」導入で懸念される「USスチールの経営合理化」への支障

 焦点のひとつは、買収完了後に米政府が取得する「黄金株」が導入されるか否か。

 黄金株とは、少数でも、取締役の選任や株主総会決議を拒否できるなど、とりわけ強い権限を割り当てられた拒否権付きの特殊な種類株のことだ。

 前に触れた投稿をする前日、トランプ氏と計画について話し合ったというペンシルベニア州選出のデビッド・マコーミック上院議員はテレビ出演で、「米国政府と締結する安全保障に関する協定に黄金株のことは含まれる」と述べ、今後のUSスチールの経営が、特殊なものになることを強く匂わせた。

 また、「政府は取締役会の構成を承認事項としたり、生産水準の削減をさせないようにしたりできる」と発言し、アメリカ政府が経営に一定程度関与するという認識も示していた。

 確かに、日鉄の技術を導入することで、USスチールがこれまで手がけられなかった米軍の船舶など装備品の素材を供給することになる可能性がある。こうした点では、政府との間で協定を結ぶことの意味は、日米同盟を補完する意義を帯びるかもしれない。

 ただ、生産設備の合理化をめぐって政府が経営に口を出し続けるなら、赤字続きのUSスチールの健全化の支障にもなりかねず、日鉄の株主総会で透明化を求める声が出てもおかしくない。

 30日のトランプ氏の演説では「鉄工所はアメリカにとどまり続ける。少なくとも向こう10年間は現在の稼働率を続ける」と述べた。

次のページ:買収を否定してきたトランプ大統領の“メンツ”という問題
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