不正アクセスの被害は相次いでおり、証券口座も乗っ取り被害が急拡大している
証券口座の「乗っ取り被害」が急増している。金融庁の発表によると、2025年1月から4月末までに確認された被害総額は約3049億円に上る。この件を受けて、各証券会社はどのような対策を講じているか。また、個人で行える対策はなにか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第145回は、「証券口座の乗っ取り被害」について。
* * *
いま、証券口座の「乗っ取り被害」が急増しています。金融庁の発表によると、2025年1月から4月末までに確認された不正アクセス件数は6380件、不正取引件数は3505件、被害総額はなんと約3049億円に上ります。最近では、著名個人投資家のテスタさんが、楽天証券の口座で不正アクセスがあったことを報告し、一気に危機感が高まりました。ネット証券の普及が進む一方で、サイバー犯罪も巧妙さを増しており、多くの個人投資家がその標的となっています。
乗っ取りの手口は主に、フィッシング詐欺やID・パスワードの流出によるものです。犯人は不正に入手したログイン情報を使い、他人の証券口座にアクセス。株式を勝手に売却したり、資金を他口座に送金したりして利益を得るケースが目立ちます。
被害は野村證券、SBI証券、楽天証券などの大手証券会社だけにとどまりません。それに加え、立花証券や内藤証券、IG証券といった中堅証券会社でも確認されており、計17社に被害が広がっています。
こうした状況を受けて、日本証券業協会は被害者への補償対応を検討。一部の証券会社では、生体認証やワンタイムパスワードといったセキュリティ機能の強化を進めています。