仕事、節約、投資でお金を稼ぐ最終目的は「喜びを得ること」
──お子さんは2人とも高校生ですが、投資教育もされていますか。
もちろんしています。子供が8歳になったときから始めていますが、毎年クリスマスに銀行に連れて行って「これはパパとママからのクリスマスプレゼントです」とお金を渡して、「これは使うのではなく、投資のためのお金です」と。そこでいろんなファンドの資料を見せて、新興国ファンドなら「マレーシアやフィリピンに家族旅行で行ったよね。投資で応援できるよ」、アメリカの大手企業ファンドなら「アップルやアマゾン、マイクロソフトとか、いつもお世話になっているよね」と説明して、投資先を選ばせる。
これは子供の老後資金として積み立てているんです。過去のS&P500の平均的な成長率は年10%を超える。物価上昇を引くと実質のリターンが約7%。これで約10年で元本が2倍になる計算です。8歳のときに20万円入れたら、18歳で40万円、28歳で80万円、38歳で160万円、48歳で320万円、58歳で640万円、68歳で1280万円になると見込まれます。実質の1280万円なので、額自体はもっと大きい。1年生活するには十分でしょう。これを毎年続けています。
それだけ積み立てることができれば、子供は老後の不安を抱えずに、やりたい仕事に挑戦したり、住みたいところに住んだりできるはずですから。
──お子さんの老後まで面倒を見る。
甘いですよね(笑)。自分でもわかっています。子供に甘いです。
だけど、大学に入ったら独立させようと思っています。たぶん、海外の大学に進学するので、彼らはそこで家から出ます。私のときと同じように、アルバイトや奨学金で学費を賄わせようと思っています。
ただ、アメリカやヨーロッパの大学の学費は昔より大幅に値上がりしていて、年間600万円とか700万円とかかかり、生活費も高騰しているので、その4分の1をアルバイトで稼いで払えというのはさすがに厳しい。だから、年100万円はアルバイトして自分でなんとかして、年100万円くらいは奨学金で賄って、残りは親が負担してあげるという形にしようと考えています。私の母も、お金がないなかで学費の4分の1を出してくれて、今も感謝しています。だから、パパもママも頑張るけど、お前らも頑張れよと。
でも、わかりません。子供には甘いので(笑)。
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【プロフィール】
パトリック・ハーラン/1970年生まれ、米コロラド州育ち。1993年ハーバード大学比較宗教学部を卒業、同年来日。1997年、吉田眞とお笑いコンビ「パックンマックン」を結成。NHK「英語でしゃべらナイト」「爆笑オンエアバトル」など多くのテレビ番組に出演し、注目を集める。著書に『無理なく貯めて賢く増やす パックン式お金の育て方』(朝日新聞出版)、『逆境力 貧乏でコンプレックスの塊だった僕が、あきらめずに前に進めた理由』(SB新書)など。近著『パックンの森のお金塾 こども投資』(主婦の友社)が話題。
取材・文/清水典之(フリーライター)