3種類の連結器
次に、この3種類の連結器の特徴をそれぞれ紹介します。
つくばエクスプレス1000系電車の並形自動連結器。北千住駅にて筆者撮影
並形自動連結器は、日本の鉄道で長らく使われた連結器です。1925年に一斉導入されたのは、このタイプの連結器です。
並形自動連結器は、後述する密着式自動連結器や密着連結器とくらべると、構造がシンプルです。ナックルと呼ばれる部品同士が接触して動くと、自動的に錠がかかり、外れなくなるしくみになっています。見た目が、人間の手の形に似ていますね。
並形(なみがた)自動連結器と密着連結器の構造。筆者作図
日本の鉄道では、かつて機関車や客車、貨車などで並形自動連結器がよく使われていました。現在は客車が希少な存在になったので、おもに機関車や貨車に使われています。
並形自動連結器の大きな特徴は、「遊間(ゆうかん)」と呼ばれる連結器のすき間があることです。これによって、車体の高さの差を吸収できるという利点がある反面、車両が前後方向に振動し、乗り心地が悪くなるという弱点があります。
名古屋市営地下鉄100形電車の密着式自動連結器。名古屋市交通局「レトロでんしゃ館」にて筆者撮影
密着式自動連結器は、並形自動連結器を改良し、「遊間」を小さくしたものです。並形自動連結器と同様にナックルがありますが、凸部と凹部があり、連結すると両者が噛み合う構造になっています。
下の写真は、上から見た並形自動連結器と密着式自動連結器です。「遊間」は、並形自動連結器にあり、密着式自動連結器にほとんどありません。
上から見た並形自動連結器と密着式自動連結器。筆者撮影
密着式自動連結器は、おもに高速貨物列車の機関車や貨車で使われています。なお、一部の気動車や電車では、連結器にかかる力が小さいので、一回り小さい密着式自動連結器(密着式小型自動連結器)が使われています。