調査をしてそれを自分の部署の独占とするのでなく、全社で共有のうえ、顧客にも公表する。相場師が自分の強みを白日の下に晒したわけで、二代目徳七のやり方は当時としては極めて特異だった。新しいタイプの相場師、現在に直結する証券マンの元祖と言ってよいかもしれない。
【プロフィール】
島崎晋(しまざき・すすむ)/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』など著書多数。近著に『呪術の世界史』などがある。