今週のドル円はどう動く?
投資情報会社・フィスコが6月30日~7月4日のドル円相場の見通しを解説する。
* * *
今週のドル円は下げ渋りか。米国の7月利下げ観測が急浮上し、米金利安・ドル安に振れやすい展開となりそうだ。ただ、中東情勢に対する警戒は根強く、ドルは買い戻される場面もあろう。ボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は直近の講演で、インフレが落ち着いていれば、労働市場を守るために次回にも利下げを検討したいとの見解を示した。それを受け7月利下げ観測が浮上し、ドル売り地合いを強めている。パウエルFRB議長は議会証言で追加利下げに慎重な姿勢を維持しながらも、早期利下げを意識したスタンスで、市場はややハト派的と受け止めている。それを受け、7月29-30日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25ptの利下げを見込んだドル売りが予想される。トランプ米大統領はパウエルの後任人事に言及しており、政治圧力による利下げにも思惑が広がる。
一方、イスラエルとイランの軍事衝突で中東の緊張が一時的に高まったが、米国の介入で両国は停戦合意に達した。安全逃避のドル買いは縮小し、ポジション調整的なドル売りが観測された。イランと米国の核に関する協議が注目されるが、近い将来、イスラエルとイランが再び軍事衝突する可能性は否定できず、警戒のドル買いは継続しよう。また、信認低下のドル売りが再開しても、ドルは値ごろ感から買い戻しが入り、下値の堅さが意識されよう。
【米・6月ISM製造業景況指数】(7月1日発表予定)
7月1日発表の6月ISM製造業景況指数は前回の48.5と5月実績と同水準となる見込み。ただ、節目の50を下回る見込みであり、市場予想を上回った場合でもドルの買い戻しは限定的となりそうだ。
【米・6月雇用統計】(7月3日発表予定)
7月3日発表の米6月雇用統計で失業率はやや悪化、非農業部門雇用者数は減少が見込まれる。平均時給は高止まりも、利下げ観測を背景にドル売り要因となろう。