フジHDをめぐる問題の経緯
マスコミ取材を避け続ける
元タレントの中居正広による、性加害事件が昨年末、「女性セブン」で最初に報じられて以来、フジは4回にわたって大きな会見、説明会を開いた。
1回目は、1月17日のテレビカメラを一切入れない“紙芝居記者会見”。 このクローズドな会見が強烈な批判を引き起こし、600社以上あったCM企業が100社強にまで減った。いまだ、170社までしか戻ってきておらず、このため、2025年3月期の決算は、200億円を超す最終赤字に陥り、明るい展望が見えてこないという窮状に陥っている。
2回目は、1月23日の社員向け説明会。オンラインを含め社員の9割に当たる約1100人が出席した。
4時間超にわたる質疑では、日枝久を糾弾する声も上がり、会場からは拍手が起こった。同社の幹部は、「かつてのうちなら(日枝批判はタブーで)ありえない。パンドラの箱が開いてしまった」と語っている。(出典:朝日新聞)
3回目は、27日の10時間超のフルオープンの記者会見。4回目は、3月31日の第三者委員会の報告書を受けての会見。
いずれの会見の場にも日枝は姿を現さず、マスコミの取材も避け続けた。日枝の在任期間は、株主総会当日まで。出席することも可能だが、最後まで逃げ切ることを図るつもりなのだろう。
「1000株保有」の男性が投げた問い
次に私がチェックしたのは、株主を監視・撮影するテレビカメラの存在の有無。フジHDの以前の株主総会で株主の質問や様子がテレビカメラで映されていたという記事を読んでいた。
これは簡単に見つかった。雛壇の上に、3台のカメラが、会場を睥睨するように設置されていた。その背後には、カメラマンらしき男性の姿もあった。
株主総会において、株主を隠し撮りするカメラが設置されているなんて、ウソみたいな本当の話だ。
このカメラの存在については、のちの株主との質疑応答でも触れられている。40代の男性が質問に立った時、
「質問の前に、皆さんに伝えておきますが、この会場には株主を撮影するカメラが設置されているのにお気づきですか」
それに対する、フジHDからの言及は一切なかった。
この総会を象徴するような一場面である。フジHDは、自分たちに不都合なことには往々にして口を噤むのだった。
質問をした男性は、開場前に、私の後ろに並んでおり、株主総会に出席するために、配当金のすべてをはたいて新幹線代とホテル代を払ったのだ、と語っていた。1000株以上、時価総額で300万円以上の資金をフジHDの株につぎ込んでいるのだ。
愛読書は、村上ファンドを率いる村上世彰が書いた『生涯投資家』。彼の話で、『生涯投資家』にはマンガ版もあり、Kindleで読めることも知った。