検証番組の取材の求めに応じなかった日枝氏(写真・時事通信フォト)
フジ・メディア・ホールディングス(フジHD)が、元タレントの中居正広氏と元アナウンサー女性Aさんとのトラブルで今も揺れている。7月6日には検証番組『検証 フジテレビ問題 反省と再生・改革』が放送された。だが、約40年にわたり同社の実権を握ってきたとされる元会長・日枝久氏は問題発覚以降、公の場に姿を見せず、今回の検証番組からの3度にわたる取材申し込みにも応じなかったという。
検証番組では側近だった遠藤龍之介・前副会長が、日枝氏による人事権の掌握や日枝氏に辞任を迫った際のやり取りなどを明かしていたが、日枝氏本人が登場して発言することはなかった。
その日枝氏への独占直撃取材を、ジャーナリスト・横田増生氏が敢行した。本誌・週刊ポストの7月7日発売号では横田氏による詳報を掲載している。
数々の潜入取材で知られる横田氏は、今年3月にフジHD株を購入し、6月25日の株主総会に潜入。ただ、例年は総会に出席していた日枝氏が今年は姿を見せなかった。総会でも日枝氏について株主からの質問が相次ぎ、いくらの退職慰労金が支払われるのかといった点が問われたが、経営陣は「個別の支給額は開示しない」などとはっきりしない回答に終始した。
そのため、横田氏は総会終了後に日枝氏の携帯電話にかけて直撃取材した。電話に出た日枝氏に対し、横田氏は総会で株主から出た質問や財務資料をもとに、役員退職慰労金が20億円超なのかと質問。その問いに日枝氏は「そんなのあり得ません! あり得ません!! 本当にあり得ないですから」と猛反論を展開した。
その後も、具体的に額を尋ねると、「それは言う必要ない」「うちはね、退職(慰労)金制度は2008年からないんですよ」などといった応答が続いた。はぐらかすような答えに対して、株主総会でも出た質問であると問うと、日枝氏は「でも、ボクは株主総会に出ていませんから。その質問は知りません」と答えた。
一方、フジHDの相談役室に時折足を運んでいるとの情報をぶつけると、「まったくのウソですよ。あなた、ウソを書いちゃいけませんよ」と答え、フジHDの社屋に行ってないのかを重ねて問うと、語気を強めて「行ってない!」と応じた。
マネーポストWEBでは、週刊ポスト掲載の横田氏のレポート『【独走スクープ】フジテレビ日枝久・元会長を直撃、「退職慰労金20億円超」疑惑に猛反論 株主総会にも姿を見せなかった“かつてのドン”が語ったこと』を全文公開している。日枝氏の猛反論の詳細、20往復以上に及んだ横田氏との問答のやり取りの全容、回答のなかに含まれた矛盾点などについて詳報している。