フジHD社長就任が総会で決議された清水専務
元タレントの中居正広氏と元アナウンサー女性Aさんとのトラブルが、企業そのもののガバナンスが問われる事態にまで発展したフジテレビ。6月25日の株主総会で経営陣は何を問われ、どう答えたのか――。数々の潜入取材で知られるジャーナリストの横田増生氏がフジ・メディア・ホールディングスの株式を購入し、株主として総会に出席。その潜入レポートをマネーポストWEB限定で配信する。(本文中、敬称略。役職は株主総会時点のもの)
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定刻の10時になり、専務の清水賢治が入場してくると、「清水さん、何でスカパーの株主総会休んだの! 待ってたんだよ」と最前列の男性から声がかかった。
清水が取締役を務めていたスカパーJSATは、数日前に、都内で株主総会を開いていた。清水は、いつものようにどこかの県庁職員に見える無表情で受け流した。
「議長解任動議!」
10人の取締役が着座すると同時に、「議長解任動議! 議長解任動議!」 と別の男性から声が上がった。
フジHDの株主総会で、個人株主が経営陣に対峙するのはいつものことだ。前年も、日枝久の在任の長さを疑問視する質疑が何度も出ている。
少数ながらも、“モノ言う個人株主”たちが、今年も最前列を占める。その声を無視し、社長(株主総会時点)であり総会議長の金光修が進行する。
総会直前に彼の表情からは笑み漏れていた。その余裕の笑みの理由の一端が見えたのは次の瞬間。