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【注目トピックス 日本株】リケンNPR Research Memo(9):ネクストコア事業を第3の柱に育成(2)

*11:09JST リケンNPR Research Memo(9):ネクストコア事業を第3の柱に育成(2)
■リケンNPR<6209>の成長戦略

(3) ネクストコア事業
ネクストコア事業の2027年3月期の目標値は、売上高180億円、営業利益率10%としている。成長分野(半導体、電動化、カーボンニュートラル対応)での事業拡大、リソース強化によるスピード感ある事業展開を推進するとともに、M&Aなども活用して次世代を担う事業ポートフォリオの拡充を図る。具体的な事業分野としては、熱エンジニアリング事業、EMC事業、メタモールド(R)※事業、及びその他の新製品・新事業(電動ユニット製品、機能性樹脂製品、磁性材製品、医療機器製品)がある。

※ メタモールドはNPRの金属粉末射出成形製品の登録商標。

熱エンジニアリング事業は、独自開発の金属発熱体「パイロマックス(R)」やセラミックス発熱体「パイロマックススーパー(R)」を製造・販売するとともに、それらを活用したヒータユニット、工業炉まで一貫して対応する。2024年2月にリケンが子会社化したシンワバネスとのシナジーによって産業界の幅広い分野に適用するとともに、特に半導体製造装置向けヒータユニットの開発及びフルラインナップ化、カーボンニュートラルに対応した開発・生産能力増強を推進する。

EMC事業は、自動車メーカーや電子機器メーカーなどでのEMC試験※1に必要な電波暗室などを、設計・施工管理からアフターサービスまで展開している。CASE※2の進展や通信技術の発展などを背景にEMC試験の必要性が高まったことから電波暗室を新設・改造する需要が増加しており、今後も電子機器等に関する電波影響を受けない・及ぼさない「電磁適合性」を確保する設備・製品の開発・販売を推進する。2024年3月期には国内で初めて最新国際規格CISPR16-1-4適合の大型電波暗室を納品した。

※1 電子機器が発する電波が他の機器に悪影響を与えないか、他の機器が発する電波を受けて誤作動しないかなどを確認する試験。
※2 CASEは、Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(シェアリングとサービス)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語である。

メタモールド(R)事業は自動車、航空宇宙、産業・医療機器など幅広い用途の複雑形状部品に適用される金属射出成形品(MIM:Metal Injection Molding)を展開しており、自動車の電動パワーステアリングや、スカラーロボットのボールネジ循環駒などの産業機器向けの拡販を推進している。金属粉末射出成形によって高密度・高強度の複雑形状品に低コストで対応できる優位性を生かすとともに、ターゲットにあわせた効率的マーケティング体制を構築して案件獲得力を強化し、CASE関連部品、ロボット、センサー、医療分野などへ展開する方針だ。

その他の新製品・新事業では、産業/介護・医療ロボット用などの小型・軽量化に対応した超薄型アクチュエータや軽量波動減速機などの電動ユニット製品の開発、次世代モビリティ・ロボット市場の拡大に対応するため異種材接合技術を活用した機能性樹脂製品の開発・拡販、EMC事業で培った技術を生かした電磁障害対策用磁性材製品の開発・拡販、生体適合材料による体内埋入型の医療機器製品の開発などを推進し、中長期的な売上・利益の拡大と中核事業化を目指す。圧粉コアを用いた薄幅高のアキシャルギャップモータは農業支援運搬ロボットに採用されている。機能性樹脂製品では2024年に金属部品をインサート成形した「樹脂歯車」を製品化して電動アシスト自転車のドライブユニット向けに量産を開始、今後も採用拡大が見込まれている。また2025年3月期には電磁波ノイズ抑制シートの販売を開始し、自動車・医療業界への市場参入を果たした。

なお、医療機器製品分野では、医療用新材料チタン・タンタル合金「NiFreeT(R)」(登録商標)を展開している。ニッケルフリー・非磁性で生体適合性が高く、体内留置が可能で、医療機器用貴金属(プラチナ)と比較して安価という優位性がある。ピストンリング用に自社開発した形状記憶合金だが、ニッケルフリーで加工性に優れているため医療材料に転換した。歯科用スクリュー、ガイドワイヤ、カテーテル補強材、整形外科を中心とした医療機器など、埋入型医療機器への応用が期待されており、早期の製品化・事業化を目指している。また、世界最大手の医療機器メーカーであるMedtronicとの植込型医療機器協同開発プログラムでも新製品開発を進めている。さらに、直近では、感染症患者移送・搬送用隔離ユニット「EpiShuttle(R)(エピシャトル)」の販売を開始(EpiGuard社製で連結子会社(株)ノルメカエイシアが国内独占販売権を保有)した。

水素エンジンを核とした水素関連事業も推進しており、2024年3月期に水素エンジン実機評価専用のベンチ室を増強し、小型エンジンから大型トラックや建設機械向けの大型エンジンまで評価可能となった。2025年3月期には水素貯蔵施設を増強して長時間の耐久評価も可能となった。さらに、柏崎事業所で使用している小型トラックを水素エンジン車両に改造し、実際の事業活動に使用して検証を行うプロジェクトも開始した。これに加え、新潟県柏崎市に水素ステーション建設を予定しており、水素エンジン開発を足掛かりとしてエネルギーの地産地消に貢献するため柏崎市ゼロカーボンシティ戦略と連携するなど、地域貢献並びにカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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