80億円もの資産を築いた「たーちゃん氏」の投資の原点とは(同氏のXアイコン)
元手50万円から投資を始め、現在の資産は80億円超という個人投資家・たーちゃん氏(49)。3年前にステージ4の直腸がんと診断され、余命宣告を受けた後も「人生に欠かせないライフワーク」の株取引を続けた。元手を1万倍に増やせた投資手法とはいかなるものか、たーちゃん氏の投資家人生を振り返りながら、その原点に迫る。
「まさか自分がなるとは夢にも思わなかった」
麻酔科医でもあるたーちゃん氏は1000例以上の大腸がん・直腸がんのオペに立ち会ったが、40代のオペ患者は見たことがなかったという油断があった。
「まさか自分がなるとは夢にも思わなかった」
4度の手術と抗がん剤治療は「もう死んでもいいから治療はしたくない」と思うほど苦しかった。2022年12月にはX(旧・ツイッター)に「今日が最後の抗がん剤治療になり、全ての治療が終了になります。不快な一日になるけど最後だと思うと我慢出来る。この闘病生活1年間は本当に長かった。心の底から再発がない事を祈ります」と綴った。
しかし、2年後、49歳の時にその不安は現実となった。肺と肝臓への転移が見つかったのだ。主治医からは「50歳は迎えられても、51歳はわからない」と宣告された。
以来、月200万円の消費を心がけてみたものの、“散財する才能”がないと気づき、使い切れない。これ以上お金が必要ではないのに、それでも株式投資を続けるのは「株が大好きで、人生に欠かせないライフワークだから」と語る。
闘病のなかで選択したのは造船株への一点集中投資。それまで独自に築き上げた投資手法を頼りに、10億円を超える元手を造船関連銘柄で固めた。結果、現在の資産は80億円まで膨らんでいるという。
元手を1万倍に増やした投資手法をまとめた新刊『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社刊)は発売直後から大きな話題となっている。
そんなたーちゃん氏が投資を始めたのは医学生時代。最初は少額で売買してみたが、うまくいかず、投資の本で勉強して自分がプレイしていたゲーム会社のセガ(現セガサミーホールディングス)に投資した。
「当時のセガはゲーム機のドリームキャストの不振で業績が悪化。でも、これをやめてソフト開発に注力すれば儲かると思って、アルバイト代50万円をすべてセガ株に投資したところ、ドリキャスの撤退とソニーのプレイステーションへのソフト供給が発表され、株価は一気に3倍以上になりました」(以下「」内コメントはたーちゃん氏)
その後、真面目に勉強せず雀荘に通い詰めていたら合格率9割超の医師国家試験に不合格。浪人しながら、医学よりも株の勉強に打ち込んだが、翌年には試験に合格、研修医となった。