たーちゃん氏は「逆張り」をメインにどうやって資産を増やしてきたのか(イラスト:イメージマート)
元手50万円から投資を始め、いまや資産80億円を突破したという個人投資家・たーちゃん氏(49)。3年前にステージ4の直腸がんと診断され、余命宣告を受けた後も「人生に欠かせないライフワーク」の株取引を続け、資産を大きく増やし、元手を1万倍に増やした投資手法をまとめた新刊『50万円を50億円に増やした投資家の父から娘への教え』(ダイヤモンド社刊)も発売直後から大きな話題となっている。
そんなたーちゃん氏が投資を始めた当初から貫いてきたことが「業績の悪い株を買って回復を待つ」という逆張りの発想で、「シクリカルバリュー株投資」が資産を大きく増やす原動力となったという。どういった投資手法なのか。たーちゃん氏に聞いた。
大きな株価上昇を狙う「シクリカルバリュー株投資」
割安株に投資する「バリュー株投資」には、PBR(株価純資産倍率)などが割安な銘柄に投資する「資産バリュー株投資」や、PER(株価収益率)などが割安な銘柄に投資する「収益バリュー株投資」がある。それらに対し、「シクリカル(景気循環)バリュー株投資」は、「景気循環する業界で“景気の谷”にいる銘柄を買う手法」だ。
「もう完全に『逆張り』の発想で、赤字続きでどん底にある銘柄の業績回復を待つ方法です。
具体的には、2年連続赤字になると、決算書の継続企業の前提に“疑義”がつくことが多い。当然、誰も買いたくなくなるから株価は安くなる。そんな赤字続きの企業が黒字転換すると株価へのインパクトは相当大きくなります。そこで、より大きな株価上昇が期待できるのが『シクリカル』なのです」(以下「」内コメントはたーちゃん氏)
業界全体の景気が悪化すれば、1社の努力だけではどうにもならずに赤字に陥る場合がある。
「たとえば鉄鋼や非鉄、ガラス、繊維、紙パルプといった“昔からある業界”はどうしても景気のサイクルに左右されます。景気サイクルは4年とされ、そのサイクルを見極めれば、大赤字から大黒字への転換も見えてくる。
黒字転換を見極めるポイントは、まず売り上げが増えること。扱う製品の数量が増えて、次に単価が上がっていくと黒字化は見えてきます。この数量の増加をいち早く捉えられれば、黒字化を誰よりも早く察知できる。これがシクリカルバリュー株投資の基本です」