「値崩れしにくく値上がりも見込める物件」をどう探すか
ここ数年、「不動産バブル」が叫ばれ、新築マンションは手が出ない価格帯となっている。新築マンションの平均価格は東京23区で1億3064万円、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)は8958万円──不動産経済研究所がまとめた今年上半期の新築マンション価格は過去最高を更新した。背景には、資材や人件費など建築コストの上昇による供給減少があるという。
少しでも安く手に入れようと中古マンションに目を転じても、こちらも高値が続いている。不動産情報サービスを提供する東京カンテイ市場調査部上席主任研究員の高橋雅之氏は、「中古マンションも連れ高となっており、首都圏は郊外も含めて全面高の傾向となっています」と分析する。
値崩れしにくく、値上がりも見込める物件を選ぶにはどうしたらいいのか。リセールバリューが高くなる立地の条件について、高橋氏は次の4つを挙げる。
「【1】立地の優位性(都心に近い)、【2】交通の利便性(急行が停車するターミナル駅など)、【3】生活利便性(学校や病院、ショッピングセンターなどが一通り揃っている)、そして5~10年後に便利になる見込みの【4】将来性です」
住みたい街ランキング上位の駅が意外に伸びていない理由
東京カンテイは築10年の中古マンションが新築時からどれだけ値上がりしたかがわかる「リセールバリュー」について、駅ごとに集計。首都圏・近畿圏についてランキング形式でまとめた。分譲された10年前の新築価格と中古流通時の価格(2024年時点)を比較した指標で、100%を上回っていれば、新築時よりも中古である現在のほうが高いことを示す。
「首都圏」では1位の「半蔵門」を筆頭に、100位まで見渡しても1.5倍の値上がりで、高騰ぶりが見て取れる。ただ、「住みたい街ランキング」で上位の常連となっている「横浜」は72位、「吉祥寺」は93位と目立った値上がりではない。背景には何があるのか。
住みたい街ランキング上位の駅が意外に伸びていないのは、すでにある程度、条件を満たしていて“伸びしろ”がないからだという。
「逆に、いずれかの要素に難があっても、それが改善されれば大化けが期待できるエリアもまだあるので、再開発の情報などは注視する必要がある。安く買うのが目的なら、たとえばターミナル駅の1駅先で探すとか、条件を譲る手もあるでしょう。いずれにしろ、当面は待っても値下がりが期待できないので、無理せず買えるなかで前述の4条件をどこまで満たしているかチェックする考え方になるのだと思います」
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※週刊ポスト2025年8月8日号