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住まい・不動産

老朽化マンションの大規模修繕、需要拡大で“争奪戦”に 居住者になりすまして業者選定に意見、億単位の積立金を管理会社が着服…トラブル続出の背景に業界の構造的な問題

マンションの「修繕積立金」が狙われる背景とは(写真:イメージマート)

マンションの「修繕積立金」が狙われる背景とは(写真:イメージマート)

 国土交通省の調べによると、全国で約700万戸以上ある分譲マンションのうち、築40年以上は2023年末時点で約137万戸。そうした老朽化マンションは10年後に2倍、20年後には3.4倍に増える見通しだ。そんな老朽化マンションの大規模修繕の市場も拡大する見込みで、分譲マンションの共用部修繕工事の市場規模は2030年に約8200億円に上ると予測される(矢野経済研究所調べ)。

 拡大する需要をめぐっては業者による“争奪戦”の様相を呈している。業者側が住民に「なりすまし」をして管理組合に参加し、住居侵入容疑で逮捕される事件まで起きた。

 今年6月に事件を報じた朝日新聞によると、神奈川県のマンションで開かれた管理組合の修繕委員会に、9か月間にわたり、大規模修繕の施工会社社員2人が住民になりすまして参加。自社に有利になるよう、業者の選定などに関して意見を述べていたという。「顔が違う」と気づいた住民に怪しまれ、身元を問われた男は逃走。後に住居侵入容疑で逮捕されたが、「こうした問題はほかのマンションでも起きている可能性がある」(山本氏)という。

残高証明書を偽造して管理組合側に提示

「億単位」になることもある修繕積立金を管理会社社員が“着服”する事件も発覚した。2023年11月、ビルメンテナンス会社・ビケンテクノの社内調査により、同社の元社員の男が大阪府内など計14のマンション管理組合の口座から修繕積立金など9億円以上を着服していたことが発覚。今年1月に逮捕された。

 管理組合からの「信頼」を逆手に取った手口で、預かった管理組合の通帳と銀行印を使って口座から不正に預金を引き出して着服。残高証明書を偽造して管理組合側に提示するなどしていた。

 同社が外部に依頼した調査委員会の報告書では、管理業務は各担当者が〈縦割方式〉で実施し相互チェックが働いていなかったこと、元社員がマンション管理適正化法で禁じられた「管理組合の通帳と印鑑」を保管していたことなどがわかった。

 同社は被害に遭った各管理組合に全額を補償している。本誌『週刊ポスト』取材に、再発防止策として「網羅的な監査体制の構築と、DX化などによる監査システムの増強、その結果を役員全体など経営陣まで上げる体制づくりをしています」(経営企画室)と回答した。マンション管理組合を舞台にした一連の騒動は、突発的な事象とは言い切れない。背景には業界の構造的な問題もある。

次のページ:修繕積立金を狙った業界ぐるみの手口

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